IIJがMVNO事業説明会を開催――フルMVNOサービスは来年3月に開始

インターネットイニシアティブ(IIJ)は2017年11月7日、MVNO事業に関する説明会を開催した。

同社のMVNOの回線数は、今年9月末時点で200万回線を突破した。内訳は、コンシューマー向けの「IIJmio」が約100万回線、MVNEとしてMVNO事業者向けに提供している回線が約65万回線、法人向けが約40万回線となっている。

MVNO事業におけるIIJの強みが、「高い設備稼働率」「安定した通信品質」「リアルタイム・データ分析」の3点。このうち設備稼働率については、個人や法人などそれぞれの利用パターンに合わせ、効率よく通信を提供することで実現している。

具体的には、個人は昼間や夕方を中心に下りの通信が多く、上りはほとんど使っていない。法人はオフィスアワーに下りの利用が集中するが、クラウドへのアップロードなど昼間でも上りを利用する機会が発生する。また、法人でもモノや機械は主に監視用途のため、自動データバックアップなど夜間の利用が多い。凸凹がないように設備運営をしていくことが設備稼働率を高め、コスト効率につながるという。

説明会では、2016年8月に発表したフルMVNOの進捗状況についても語られた。

MVNO事業部長の矢吹重雄氏は「11月に入る直前にNTTドコモとの大きな試験が終了し、概ねスケジュール通りに準備が進んでいる。当初の計画通り、2018年3月末までに第1弾のサービスを開始する」と述べた。

当初は、法人向けサービスと、訪日外国人向けプリペイドサービスの2種類を提供する。

法人向けサービスは、「IIJモバイル/I」といった名称を予定しており、利用したい機能を選びやすいメニューを考えている。

訪日外国人向けプリペイドサービスは、現在提供している「JAPAN TRAVEL SIM」のIIJ版ともいうイメージになる。

反対に、日本人が海外でデータ通信を利用する際にも、フルMVNOになることで、現在唯一の選択肢であるドコモの「WORLD WING」にはないようなサービスを展開することが可能になる。そのために各国の通信事業者やMVNOと話し合いを始めたところで、来春を目途に新しいサービスを提供したいという。

MVNO事業部MVNOセールス・プロモーション部事業統括室の佐々木太志氏によると、将来的には、海外キャリアの通信サービスをIIJのSIMカードに書き込んだり、日本を訪れた観光客が空港に着いたら、SIMカードを差し替えなくてもIIJの通信に自動的に切り替わるといった機能を視野に入れている。

なお、フルMVNOはデータ通信のみの提供であり、音声を主力とする個人向けのサービスは採算性に乏しいことから、当面は法人やIoTが中心になるという。

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