「TOYOTA CONCEPT-愛i」は、2017年1月に米国で開催された見本市「CES」でトヨタ自動車が発表し、話題を集めたコンセプトモデルだ。今回、東京モーターショー2017に合わせてシリーズを拡大し、CESで初公開したモデル(下写真の右)に加えて、小型モビリティ「Concept-愛i RIDE」と、歩行空間向けの3輪電動スクーター「Concept-愛i WALK」の3タイプをトヨタスタンドで披露している。
トヨタ自動車のコンセプトモデル「TOYOTA CONCEPT-愛i」。
左奥が、今回新たに追加された小型モビリティ「Concept-愛i RIDE」(詳細は2ページへ)
CONCEPT-愛iの目玉は何と言っても、ドライバーの感情や嗜好を理解する人工知能(AI)の搭載だ。トヨタスタンドの一角では、ドライビングシュミレーターでAIとのやり取りを実際に体感することができる。
ドライバーの感情や嗜好をクルマが理解する
では、AIはドライバーに対して何をするのか。ひと言でいえば、AIが能動的にドライバーをアシストすることで安全性を高めたり、運転そのものを楽しく、快適に行えるようにする。
説明員によれば、表情、ジェスチャー、声色の3要素を基にAIがドライバーの心情や嗜好を理解するという。これを手がかりに、ドライバーが眠気を催せば注意を促したり、イライラしていたらシートを振動させたり、あるいはドライバーの好きな曲を流す、興味を引くニュースを知らせたりする。例えばサッカーが好きなドライバーならば「昨日の試合で本田圭佑が2ゴール決めた」というニュースを流すといった具合だ。
また、ドライバーが危険な状態に陥ったような場合は自動運転モードに切り替わる。“見守り”だけでなく、クルマと人が“助け合う”関係を実現しようとしているのだ。
こうしたドライバーの感情推定はクルマ内で行い、一方、ネットワークでつながったクラウドでは個人の思考や好みなどを学習しデータを蓄積する。数多くのドライバーのデータが集まることで、さらに高度なサービスを行うことも可能になるという。
ドライバーの感情をモニタリングし、それを地図上にプロットしたもの。
緑色が「ハッピーな感情」で、オレンジ色が「アンハッピーな感情」を表す。
このデータを基に“より楽しくドライビングできるルート”を提示することも可能になる
その例が、ドライバーの幸福感を優先させた新たなナビゲーションサービスだ。「AIとクラウドがドライバーの感情をモニタリングし続ける。それによって、“幸福”な状態で走行した人が多いルートや区間、反対にストレスを感じるドライバーが多かった区間といったものがわかるようになる」と説明員は話す。
このデータを活用することで、少し遠回りになるかも知れないが、より楽しんでドライビングができるルートをAIが提案するといったことが可能になるという。「従来のナビは、“最も早く着く”または“最短距離で着く”ルートを検索して提示するものだった。だが、これからは“最も幸福な状態で目的地を目指せる”という新しいナビができるかもしれない」(説明員)。