メトロネットワークは、モバイル基地局や光アクセスとコア網、およびデータセンター間をつなぐ通信網であり、コンシューマ/法人向けの様々なサービスを収容する。
IoTの本格化、そして5Gに備えるには、このメトロネットワークの高速・大容量化はもちろん、これまでにない性能と効率性が求められると話すのは、光伝送装置ベンダーのインフィネラ・ジャパンでシステムエンジニアリング担当ダイレクターを務める金親義一氏だ。「低遅延性が重要視されてきており、また、多彩なトラフィックパターンに対応できる能力も必要だ」。
環境の制約が多いメトロそして、こうした通信機能・性能以上に重要視されるのが、装置サイズと電力消費効率だ。
メトロネットワークの設備は都市部の局舎やユーザーのビル内に設置されるため、設置スペースと電力供給の問題に常に悩まされる。「通信事業者が新しいサービスを始めたくても、装置を追加・増設するスペースが足りない、新たに電源を入れらないなどの問題がつきまとう。さらにエッジコンピューティングの登場で、スペースと電力の確保はより難しくなってきている」と金親氏は話す。
こうした課題を解消するためにインフィネラが投入するのが、メトロ向け光伝送装置の新製品「XTM Ⅱ」だ。すでに3万シャーシ以上が導入されている前機種「XTM」との後方互換性を保ちつつ、その能力を大きく拡張して低遅延化、高密度化、そして電力効率の改善といったニーズに応える製品だ。
XTM Ⅱは複数のシャーシとラインカードで構成される。シャーシは、1RUサイズで最大400Gbps、3RUで最大1.6Tbps、11RUで最大4Tbpsの3タイプを用意。これらに、特徴の異なる各種のラインカードを組み合わせることで、様々なサービス要件に対応することが可能になるという。
例えば、モバイルフロントホール用カードの処理遅延は最小5n(sナノ秒)であり、低遅延な通信サービスが可能になる。IoT向けでは特に遅延要求が厳しいが、その場合「一般的なもので50ms(ミリ秒)、早くて数十msかかる」(同氏)という光伝送装置の転送遅延が足枷になる。
XTMⅡでは、伝送距離を抑えて遅延を少なくするといった柔軟な運用を可能にしており、長距離通信を行うケースが比較的少ないメトロの特性を活かして、低遅延性を優先させたサービスが実現できる。
このほか、トランスポンダとマックスポンダの2つの異なる中継方式をサポートし、伝送密度を従来比8倍に向上させた「400Gフレックスポンダ」、キャリアイーサネットやMPLS-TP、CATV、モバイルバックホール等の多様なサービスを収容するのに適したL2パケット光スイッチ「EMXP440」など複数のカードを用意している。これらのカードを組み合わせることで、ラックスペースを有効活用しながら様々なサービスを提供することが可能になる。
なお、これらのカードはすべて前機種のXTMにも導入が可能だ。
「高速化だけなら誰でもできる」そして、最大のポイントが消費電力の低さである。
「消費電力を徹底的に抑える設計にした」ことで、ギガビット当たりの電力効率を3.5倍に向上させた。金親氏によれば、競合製品のうち最も高効率なものでも100G当たりの消費電力は47Wだが、XTMⅡは27Wと、圧倒的な優位性があるという。電源の交換・追加をせずに設備を増強できるのは大きなメリットだ。