[シリーズ]FUTURE NETWORK 第1回2020年5Gの旅 – 20Gbpsモバイルをどう使う?

東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には、「5G」の商用サービスが始まる。実現までの旅路と、5G開始後のモバイルネットワークの姿を解説する。

「2020年には、お客様から料金をいただける本格的なサービスとして5G(第5世代移動通信システム)を始めていきたい」

かねてから2020年からの5Gサービス開始を広言してきたNTTドコモ。それが試験サービスレベルなのか、それとも本格的な商用サービスレベルなのかについては、今まで明言されてこなかったが、同社5G推進室の奥村幸彦氏はこう語った。

NTTドコモ 奥村幸彦氏
NTTドコモ 先進技術研究所 5G推進室 5G方式研究グループ グループリーダ 主幹研究員 奥村幸彦氏

「世界に先駆けて2020年に5Gを実現する」と総務省が2014年に打ち出したのを機に、日本では“国家目標”として取り組まれてきた5G。2020年を3年後に控え、その動きがいよいよ慌ただしくなってきた。

これまで5Gの提供時期に関して具体的な言及を避けてきたKDDIも今年2月に「2020年に5Gのスタートを目指す」と表明。続いて3月には、ソフトバンクも「2020年頃の商用サービス開始」という方針を明らかにした。

ソフトバンクが「2020年頃」としているのは、2020年より後にずれ込む可能性を想定してのことではない。

「お客様の要望があれば、2019年にも商用化できるよう準備を進めている」と同社モバイルネットワーク本部で技術企画部部長を務める船吉秀人氏は語る。

ソフトバンク 船吉秀人氏
ソフトバンク モバイルネットワーク本部 ネットワーク企画統括部 技術企画部部長 船吉秀人氏

5Gの標準化前倒しで2019年の商用化も可能に2019年の商用サービス開始がソフトバンクの視野に入ってきた背景には、3GPPにおける5Gの標準化スケジュールが前倒しされたことがある。

5Gでは、①eMBB(enhanced Mobile Broadband:超高速大容量通信)、②URLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications:超高信頼性低遅延通信)、③mMTC(massive Machine Type Communications:大量マシン通信)という性格の異なる3つのユースケースを1つのネットワークで実現することを目指している(図表1)。

図表1 5Gの主要な3つの能力拡張
図表1 5Gの主要な3つの能力拡張
出典:KDDI資料をもとに編集部で一部加筆

5Gの早期商用化の要望を受けて、3GPPはこの3つのユースケースの中でも商用化のニーズが最も高い、①eMBBの規格策定を先行することを決定。5Gの「フェーズ1」として2018年6月に「リリース15」で仕様を確定する計画にしていたが、フェーズ1の一部仕様について、さらに前倒しすることを今年3月に決めた。

多くのモバイルキャリアが導入を計画している「ノンスタンドアロン(NSA)」と呼ばれる運用形態の仕様を2017年末までに仕上げるという(図表2)。

図表2 NSAとSAの構成イメージ
図表2 NSAとSAの構成イメージ
出典:エリクソン資料をベースに編集部で一部加筆

NSAは5Gのサービスエリアを、4Gエリアの中に重ね合わせて整備して、4Gの制御チャネルで5Gのネットワークも制御するものだ。4Gの制御チャネルを利用せず、5Gを単独で運用する形態は「スタンドアロン(SA)」と呼ばれる。

月刊テレコミュニケーション2017年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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