今、熱い視線がAI(人工知能)に注がれています。
新聞・Webメディアなどで、AIに関する記事を目にしない日はないでしょう。
現在は「第3次AIブーム」と言われており、AI研究開発で先行する米国の巨大企業たち――Google、Amazon、IBM、Microsoft、Facebook、Appleなどは、「ディープランニング(深層学習)」と言われる先進技術に取り組んでいます。
第3次AIブームは、ディープラーニングという技術の誕生により起こった、と言っても過言ではありません。
また、詳しくは後述しますが、ディープラーニングを効果的に活用するためにはビッグデータが必要です。先に挙げた米国の巨大企業は、いずれも自社顧客の個人情報をはじめとした、ワールドワイドなビッグデータを保持しています。
このように米国勢は、①研究開発の先行、②自社でワールドワイドなビッグデータを保持、と二重の意味で第3次AIブームをリードしています。
しかし、日本企業も、このまま米国勢の後塵を拝し続けるわけにはいきません。
我が国の大手企業は、研究開発で米国をキャッチアップする体制を整え始めていますし、中小企業には、大手IT企業が提供するAPIとしての学習済みAIを活用する道が開かれています。
また、ビッグデータについては、この5月30日から完全施行された「改正個人情報保護法」により、活用しやすくなる、という状況にあります。
個人情報保護法の改正、と聞くと、「情報の取扱いが厳しくなるのでは?」と思われるかも知れませんが、今回の改正は、「個人情報の更なる保護と、適正な利活用」をバランスさせたものとなっています。
ざっくりと言えば、従来法より規制された点の方が多いものの、一部には規制緩和されている部分があります。特に、「個人情報のビッグデータへの活用」においては、世界初となる制度が取り入れられるなど、野心的なものとなっています。
まさに国を挙げたAI+ビッグデータの活用によるビジネス変革のための体制が整ったと言えるでしょう。
以上のような状況を踏まえ、今回の記事では、
・ディープラーニング実現に至る、これまでのAI開発の流れ
・ディープラーニングは従来のAIと何が違い、ビジネスをどう変化させるのか?
・我が国の官民一体化によるAI+ビッグデータ活用へ向けた体制とは?
について、説明していきます。