最近注目のキーワードとなっているMR(Mixed Reality:複合現実)――。ARとVRを融合・発展させた技術がMRだが、リアライズ・モバイル・コミュニケーションズ 取締役の勝本淳之氏はMRについて次のように解説した。
「AR(拡張現実)は、現実世界に情報を重ね合わせる。ただし、現実世界を消すことはできない。一方、MRは、VR(仮想現実)の世界に現実空間を再現したうえで、そこにCG等の情報を重ね合わせる」
MRの特徴
そのMR技術を活用した歯科治療シミュレーションシステムを、リアライズ・モバイルとモリタが開発。3月下旬に独ケルンで開催された世界最大の歯科業界の展示会「ケルン国際デンタルショー」に出展した。MR技術を活用した歯科治療シミュレーションシステムは世界初だという。
モリタは昨年、創業100年を迎えた歯科医療の総合商社でありメーカー。
「昨今、デジタル化、ICT化が一般的に進んでいるが、歯科業界も例外ではない。CTやCADといったデジタル技術の活用が進んでいる。では、次の革新的な技術として、どんなものが来るのか。100年の歴史がある老舗ではあるが、今後も革新的な企業であることを見せる必要がある」(モリタ 代表取締役社長の森田晴夫氏)
そこで、モリタはMRという最先端の技術を使ったシステムの開発に取り組んだという。
「見えないところを見ながら治療できる」4月21日に開かれた説明会では、日本の報道陣向けにそのデモが行われた。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を装着した施術者の視界に広がるのは、患者(実習模型)の口腔内や患部の映像。肉眼では見ることができない神経や血管の位置なども、CG画像で重ね合わせて表示される。
このため、傷つけてはいけない神経などを視認しながら、施術者は治療を進めることが可能だ。つまり、「見えないところを見ながら治療できる」(森田氏)。
インプラント治療のデモ。右のディスプレイに表示されているのがHMD内の映像だ。
本来見えないドリル(赤色)や神経(薄い青色)を視認しながら施術できる
現在、歯科治療の現場では、ディスプレイなどに表示したCTスキャンの画像などを横目で確認しながら、治療を行っているという。それが、MR技術により、HMD内に再現した現実空間上に、CTスキャンで取得した神経の位置なども重ね合わせて表示可能になるため、より安全に歯科治療を行えるようになる。
歯の中の神経も見える
説明会では、神経の位置やドリルの進み具合を視認しながらインプラント治療を行うデモや、歯の中の神経の位置を視認しながら根管治療を行うデモが披露された。