IoTビジネスカンファレンス 講演レポート工場の見える化を実現するためには各部門の担当者が欲しいと考える情報を欲しいタイミングで供給するシステムが必要

ロックウェル オートメーション ジャパンの畝 忠孝氏は、工場の部門や職位によって必要とするデータが異なること、また必要とするデータが様々なシステムに分散していることが工場を見える化する際の課題となっているとした上で、その課題を解決するソフトウェアとしてFactoryTalk VantagePoint(以下、FactoryTalk)の機能について説明するとともにその導入実例を紹介した。

工場見える化の課題は散在しているデータを手動で収集していること初めに同氏は工場の見える化に関する課題について取り上げ、「製造業では工場の現場と生産管理部門、経営層が必要とするデータはそれぞれ異なっている」と指摘した上で、それぞれが欲しいタイミングで欲しい形でデータを供給する必要があると述べた。

例えば、生産現場のオペレーターが入手したいと考えている情報は生産設備の稼働状況や生産の進捗に関するものでありリアルタイム性が求められる。生産管理部門が担当しているのは生産性や品質の向上であり、そのためには過去のデータをトレースすることが必要となる。一方、経営層は各工場の生産量や使用電力などをグローバルに比較したり、生産の改善に役立つデータを求めている(図表1)。

図表1 欲しいタイミングで、欲しい情報を提供する
図表1

続いて畝氏は、「システムごとに散在しているデータを手動で収集してレポートを作成している」ことが製造業のデータ活用に関する問題であり、製造業は(1)タイムリーなレポート更新が困難、(2)CRMなど他のアプリケーションが持つデータと組み合わせて分析することが難しい、(3)製造ラインを停止させることなく、新しいレポートシステムを導入することが困難といった課題を抱えていると指摘した。

工場の見える化に求められる機能これらの課題を解決して工場の見える化を実現するためにシステムが持つべき要件として畝氏は以下の項目を提示した。

(1)様々なデバイス、コントローラ、データベース、サーバとオープンな規格で接続可能
(2)必要なデータを様々な場所からピックアップし、結びつける機能
(3)リアルタイムデータの取得、制御への対応
(4)Webからのリアルタイムでの情報確認
(5)小規模から大規模まで同じプラットフォームで対応可能なスケーラブル性

続いて同氏は同社のFactoryTalkは「工場の見える化に特化したレポートシステムのソフトウェアである」と位置付け、FactoryTalkが備えている(1)CONNECT、(2)ORGANIZE、(3)VISUALIZEの3つの機能について説明した(図表2)。

図表2 FactoryTalkが備える3つの機能
図表2

情報をKPI化する機能を提供CONNECTは、各システムのデータベース、PLCシステム、センサーをつなぐ機能である。ORGANIZEは、様々なシステムをつないで得たデータを1つのサーバに統合し、レポートする機能を指す。VISUALIZEは、インターネットを利用してどの拠点からでも生産に関するデータを見ることができるようにする機能である。

FactoryTalkは製造業が必要とする情報を必要な形でKPI化、レポート化する機能を備えている。例えば、SAPやOracleのエンタープライズシステムのデータやIBMの生産管理システムなどのデータを現場のデータと自由に結びつける機能がその1つである。また、ダッシュボード機能は経営層が求めるデータのグラフ化機能を提供している。

Microsoft社のExcelをレポート作成ツールとしていることによってユーザーがレポートを簡単に作成できることもFactoryTalkの特徴である。様々なサーバに格納されているデータをExcelに取り込み、グラフやKPIに関するレポートはExcelで作成する仕組みを採用している。Excelべースでレポートの修正やデータの追加などの作業は現場の担当者が行える。IT部門や外部企業に作業を依頼する必要がないため、製造業は現場でレポートのアップデートがタイムリーに実行できるようになるというメリットを得ることができる。

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