楽天が「ワンチーム実現」のために行った4つの施策ここで登場したのは、楽天 コーポレート情報技術部の西尾祐人氏だ。シスコのユーザー企業である同社は昨年の本社移転の際、「人が、アイデアが、OPENに行き交う」をコンセプトに、コラボレーション強化のための取り組みを実施した。
楽天 コーポレート情報技術部 インフラストラクチャー課 西尾祐人氏 |
このコンセプトについて西尾氏は、「数名の社員が小さなオフィスで顔を合わせてコミュニケーションを取りながら、スピード感をもってビジネスを進めていた創業時の働き方を、新本社“楽天クリムゾンハウス”で体現したいと考えた」と説明した。
楽天がクリムゾンハウスで実現した施策は、(1)朝会会場設備の拡充、(2)全会議室にビデオ会議端末を設置、(3)One Communication Platform、(4)オープンなオフィス設計の4つだ。
(1)の朝会とは、楽天が創業当時から行っている全社会議。「社員数が1万人を超えている今でも毎週行われており、国内外50拠点以上のサイトからオンラインで朝会に接続してきている」と西尾氏。
本社移転に伴い、20数フロアあるクリムゾンハウスの各フロアへ映像分配する設備などを導入し、全社員が朝会を見られるようになっているという。
(3)のOne Communication Platformでは、従来別々だった電話・チャット・ビデオのコミュニケーションツールを刷新し、ワンプラットフォーム化した。「多種多様な人が働いているので、シンプルで使いやすいものでないと使ってもらえない。そこで、本社移転を機にワンプラットフォーム化し、1つのアプリケーションから電話・チャット・ビデオを使えるようにした」という。
楽天が採用したOne Communication Platformの概要 |
西尾氏によると、楽天の社内で最近流行っている言葉が2つある。「Diversity(多様性)」と「One Team」の2つだ。
「我々は、性別、年齢、国籍、職種などが様々な人たちがOne Teamになって働く環境を実現し、それを通じて社会にイノベーションを起こしていくことを目指している」
西尾氏は、楽天クリムゾンハウスへの移転を通じて得た“気付き”についても紹介した。その1つは、「自社の文化を正しく理解し、自社のワークスタイル変革のストーリーに合ったソリューションを導入すること」。
また、「ユーザーサイドでうまくいっている運用を変更することは非常に大変」とも強調。「ユーザーにはストレスがかかるし、何かを変えることにネガティブな人もいる。そうした方に対して、働き方改革で現場が得られる価値について、IT部門がきちんと説明していくことが非常に大事だと感じた」という。