「スマートグリッド成功にWi-Fiは不可欠」――Wi-Fiアライアンスが優位性をアピール

300社超のメンバー企業で構成されるWi-Fiアライアンスは2010年4月20日、メディア向け説明会を開催し、スマートグリッド(次世代送電網)の実現と普及におけるWiFiの優位性をアピールした。

スマートグリッドは、配電網(グリッド)の効率向上や、省エネおよびCO2排出量の削減、および再生可能エネルギーの利用増進に貢献できるものとして、日米欧の各国で構築に向けた取り組みが進んでいる。家庭やオフィス内の電力使用状況などのデータを計測し集積する「スマートメーター」とグリッドで情報を双方向に通信し、電力供給を調整。グリッド全体のエネルギー使用効率を最適化するほか、太陽光パネル等により家庭内で生み出される電力の売買や相互利用なども可能になる。

ABI Researchの2010年の調査によれば、世界のスマートメーターの運用台数は2007年の4900万台から09年には7600万台に増加し、2014年には2憶1200万台に達すると予測されている。また、Wi-Fiアライアンス・マーケティングディレクターのケリー・デイヴィス・フェルナー氏は、米国においてオバマ政権がグリッドの近代化に向けて計34億ドルの資金投入を行う計画であること、世界各国で私的投資も堅調に進んでいることなどを紹介。スマートグリッドの構築に向けた動きが世界的に進んでいるとした上で、「スマートグリッドアプリケーションにとってWi-Fiは不可欠なテクノロジー」と語った。

WiFiアライアンス・マーケティングディレクターのケリー・デイヴィス・フェルナー氏

スマートグリッドにおける通信には、既存のさまざまな有線/無線通信規格の採用が検討されている。その候補としては、グリッド側では光やPLC、移動体通信(2G/3G)、WiMAX、無線メッシュなど、また宅内のホームネットワーク(宅内のさまざまな端末とスマートメーターを接続)ではZigbeeやWi-Fi、HomePlugなどがある。

「Wi-Fiが新たな世界を開く」

競合する数多の技術のなかで、フェルナー氏はWiFiが有益な点として(1)成熟したテクノロジーであること、(2)PAN、HAN、WANにも適した環境を提供できること、(3)強固なWPA2セキュリティを持っていること、さらに、(4)すでに数多くのデバイスが出荷されており、費用対効果が高いことなどを挙げた。

WiFiの優位性をアピール

また同氏は、Wi-FiがIPベースの技術であることも大きな優位点として挙げ、「Wi-Fiをスマートグリッドに採用することにより、さらに広い世界への扉が開く」と主張した。

スマートグリッド上で提供されるサービスは、単にグリッドとスマートメーターが協調して電力供給を調整するだけでなく、例えば消費者が外出先から携帯電話で家庭内の電力使用をモニタリングしたり、電源のON/OFFを行ったりといった、より複雑かつ高度なアプリケーションにも期待が寄せられている。

電力供給の調整等は電力会社のネットワークと宅内ネットワークの(スマートメーターを介した)接続により行われるが、さまざまな宅内機器がインターネットとも接続することで、電力会社網の外においても相互通信が可能になり、リモート監視・管理なども容易に実現できるようになる。Wi-Fi搭載端末はすでに多数が出荷されており、フェルマー氏は、そうした環境を背景にして「アプリケーションデベロッパーによる新たなサービスが登場することが期待される」とした。

Wi-Fiアライアンスでは今後、スマートグリッドにおけるWi-Fiテクノロジーの利用を促進するため、各国の規制当局や政府各局との活動を進めるほか、関連テクノロジーやテストの開発、電気・ガス・水道業界をはじめとする業界団体との連携を進めていきたいという。

新技術「Wi-Fi Direct」

さらに同氏は、新技術である「Wi-Fi Direct」についても紹介した。

Wi-Fi Directは、アクセスポイント等がない環境においても、端末同士をP2P技術によって相互接続できる技術。複数デバイスとの接続も可能で、これにより、例えば複数台のデバイス間で音楽や映像を共有したり、携帯電話からテレビへと写真を直接表示させたりといったことが簡単に行えるようになるという。

Wi-Fi Directの仕様策定はすでに完了しており、最初のWi-Fi Direct製品は年内にもリリースされる予定という。

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