シスコシステムズは2016年4月6日、昨年9月に販売を開始した中小企業向けブランド「Cisco Startシリーズ」の機能強化とラインナップ拡充を発表した。合わせて、Cisco Startシリーズを販売するパートナーとの共同マーケティング施策として、オンライン販売サイト「Cisco SMBマーケットプレイス」も開設するなど、中小企業市場の開拓に向けた新たな施策も展開する。
シスコシステムズ 専務執行役員 パートナー事業統括の高橋慎介氏
Cisco Startは、日本市場向けに開発した低価格なルーター/スイッチ、無線LANアクセスポイント、セキュリティ製品を揃え、かつ、専任のIT/ネットワーク管理者が不足しがちな中小企業でも運用が可能なように設定・管理を簡素化したのが特徴だ(参考:シスコが中小企業向け新ブランド「Cisco Start」を立ち上げ)。シスコ・専務執行役員(パートナー事業統括)の高橋慎介氏によれば、Cisco Startの反響は大きく、15年10月時点で60社だった販売パートナー数は半年で935社(16年3月末)に増加。「そのうち600社は、これまでほとんどシスコと取引がなかった新たなパートナー」だという。
これには、Cisco Startに関するサポート情報を提供するコミュニティサイトの立ち上げや、エンドユーザーからの問い合わせに直接対応する窓口を設けるなどのサポート体制の充実も貢献しているという。その結果、「これまでシスコが弱かった、地方でのパートナー拡大と販売も伸びている」と高橋氏は述べた。
シスコはCisco Startの以前にも数度、中小企業をターゲットとした製品を開発・販売してきたが、いずれも成功をおさめることはできなかった。「難しくて高い」というイメージを払拭できなかったことが失敗の要因だと話す高橋氏は、その反省に立って今回のCisco Startは「本気」で取り組んでいると強調した。日本市場に適した製品・機能開発はもちろん、販売パートナーの支援体制もさらに強化していくという。
具体的な施策としては、4月以降、次の3つを進める。
VPNルーター「Cisco 841MJ」にアプリケーション可視化・制御機能を追加する
1つは、ギガビット対応VPNルーター「Cisco 841MJ」の機能強化だ。アプリケーション可視化/制御の機能を無償で提供する。Cisco 841MJを経由するトラフィックを解析して、例えばYoutubeやニコニコ動画といった業務に関係ないサイト/アプリケーションを利用している社員がいた場合、そのアクセスをブロックできる機能だ。GUI画面で利用中のアプリケーションを容易に確認でき、禁止したい項目を指定するだけでその利用をブロックすることができる。
「WebEx」「クラウドWebセキュリティ」の2サービスをラインナップに加える
2つ目は、新サービスの追加だ。Web会議サービス「Cisco WebEX」と、Webフィルタリング等のセキュリティ機能が使える「Cisco クラウドWebセキュリティ」の2つのサービスを提供開始する。どちらも従来は、大企業での利用を想定したライセンス体系しかなかったが、今回、中小企業でも利用しやすい少数ユーザー向けの「めちゃくちゃ安い」(高橋氏)新ライセンス体系を用意した。WebEXについては、Cisco Startシリーズのハードウェア製品とバンドルで購入した場合、50名まで年額7万5800円(キャンペーン価格、以下同)と非常に低廉な価格で利用できる。クラウドWebセキュリティについても、ハードとバンドル購入の場合の利用料金は年3980円(25ユーザーから)だ。
3つ目の施策は、販売支援体制の更なる強化である。目玉は、新たに開設する「Cisco SMBマーケットプレイス」。Cisco Startの販売に特化したオンライン販売サイトで、エンドユーザーが購入したい製品・サービスと販売パートナーを選び、見積り依頼を行える。このサイトから販売パートナーへと顧客を誘導するとともに、販売パートナーはシスコ製品と競合しない範囲で、自社の商材を顧客に対して提案・販売することも可能だ。
中小向けのオンライン販売サイト「Cisco SMBマーケットプレイス」
シスコはこのマーケットプレイスを通して、特に地方の顧客開拓を進めたい考え。日本全国をカバーできるよう、来年度までに50社を目標に「マーケットプレイスに賛同いただけるパートナーを募っていく」という。