セキュリティ対策と金融機関への導入実績を重視してKDDIを選定こうした目的のもと、タブレットの導入を決定した長野銀行。総合企画部 企画課長 兼 リスク管理課長 ブランド推進室担当の田中啓介氏は、タブレットの選定時には次の点を重視したという。
「一番懸念したのはやはり、タブレットを介して外部に情報を持ち出すうえでのセキュリティでした。また、金融機関の業務は、一般の事業会社と比べるとかなり特殊な部分があります。このため金融機関への導入実績があり、金融機関向けの仕組みを作るノウハウがあるかどうかも重要でした」
複数の通信事業者からタブレットとネットワークに関する提案を受けるが、セキュリティ面も含めて一番具体的な提案をしてきたのがKDDIだった。また、長野銀行が視察した銀行もKDDIを採用しているなど、金融機関への導入実績も豊富だった。そこで、KDDIに決めたという。
長野銀行の本店内には、松本市に本拠地を置くプロサッカークラブ「松本山雅FC」のグッズが至るところに展示されている。同行は、松本山雅FCのユニフォームスポンサーを務めている |
KDDIのリモートアクセスやMDMなどで万全のセキュリティ対策を実現ここでシステムの全体像を整理しておこう。
導入したタブレットの台数は約400台。顧客との渉外業務を担当する営業係が、このタブレットとモバイルプリンターを携行している。モバイルプリンターは、預かり証の印刷に利用する。
タブレット用には2つのアプリケーションを開発した。1つは、顧客情報の閲覧など営業支援システムの一部機能をタブレット上で利用するための「Nタブ」というアプリケーション。もう1つは、預かり証の印刷・管理をタブレットで行うための「Nタブレポート」というアプリケーションだ。両方ともデータセンター上のシステムと連携して動き、タブレットにデータは一切残さない。
データセンターとの接続には、KDDIのリモートアクセスサービス「KDDI Flex Remote Access」を採用し、閉域網「KDDI Wide Area Virtual Switch」経由での安全なアクセスを実現している。
パスコードの入力は、タブレットのロック解除時と、アプリケーション起動時の2回必要だ。このため、どちらか一方のパスコードが仮に破られても、顧客情報などにはアクセスできない。
さらに長野銀行では、KDDIのMDMサービス「KDDI Smart Mobile Safety Manager」(SMSM)を利用し、タブレットの紛失・盗難時には遠隔からロック/消去が行えるようにしている。また、アプリケーションの利用やインターネット接続などに関しても、SMSMで制限を実施。例えば、インターネット接続については、長野銀行のWebサイトなど、許可したWebサイトにしかアクセスできないように制限している。
このように幾重にもセキュリティ対策を施している長野銀行。「我々も要望は出しましたが、基本的にはKDDIが必要なソリューションを提案してくれたので、あまり苦労せずに堅牢なセキュリティを実現できました」と田中氏は話す。