「インターネットVPNのままではBCPにもセキュリティにも対応できない」「ネットワーク機器を入れ替えるだけ、という手もありました。しかし、今のご時世を考えると、それは違うだろうと判断しました」
従来、インターネットVPNで拠点間をつないでいた同社。これに利用していたルーターの老朽化に伴い、ネットワークの見直しを検討し始めるが、情報企画グループで専任課長を務める河本隆氏に“現状維持”という選択肢はなかった。
インターネットVPNで拠点間ネットワークを構築してから約7年、同社ではいくつもの課題が顕在化していたからだ。
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(右から)大日コンサルタント 経営管理本部 企画部長の渡部正樹氏と同本部 企画部 情報企画グループ 専任課長の河本隆氏 |
まずはBCPである。大日コンサルタントでは、本社を起点にしたスター型のネットワーク構成を採用していた。拠点間の通信は、すべて本社を経由するため、本社に障害が起こると全拠点に影響が及んだ。
基幹システムやグループウェアなどのサーバーは、本社オフィスのサーバールームに置かれており、本社につながらなければ利用できない。また、ファイル共有サーバーは本社だけではなく、各拠点にも設置されており、本社に障害が起こると、これらも別の拠点からは利用できない。
セキュリティについても課題があった。総合建設コンサルタントとして、社会資本整備に携わる同社は、多くの行政情報を取り扱っている。こうした重要情報の漏えいは、万が一にも防がなければならないが、インターネットVPNは公衆網を経由する。不安がないわけではなかった。
さらに、インターネットの出入り口にも課題があった。拠点間の通信が本社経由だったのに対し、インターネットには各拠点から直接接続しており、拠点ごとにインターネットセキュリティ対策を行っていた。このためファイアウォールやURLフィルタリングなどの設定は、拠点ごとに個別に行うことが必要。その運用負荷は重く、変更漏れなどのミスも生じやすかった。
「今のインターネットVPNのままでは、BCPについても、セキュリティについても十分な対応ができない。そもそもの考え方を変える必要があると、ネットワーク全体を見直すことを決めたのです」と河本氏は説明する。