ワークスタイル変革Day 2015 講演レポート日本IBM北氏「経営陣が責任をもって率先すれば社員も付いてくる」――“One IBM”の働き方改革

2002年の業績悪化・株価低迷を受けて、グローバルな視点での構造改革を図ったIBM。この取り組みによって、社員の働き方も大きく変わっていった。日本IBMの北好雄氏は、自社が進めてきた経営の見直しを基点とした社内の制度や仕組みの変更、それに伴うワークスタイル改革という一連の経緯と、新しい働き方を定着させるために行ってきた諸施策について説明した。

ワークスタイル変革は企業の“目に見えない部分”の見直しから北氏はまず、スライドに氷山を映し、「ワークスタイルとは何か」について次のように述べた。

「海上に浮かぶ氷山は全体の1割で、9割は海中にある。これと同じように、ワークスタイルとは目に見える一部分でしかない。企業は制度、働く場所、システムなど様々な仕組みが整合性をもって機能しており、それによってワークスタイルが出来上がっている。さらに、それらの仕組みは経営戦略、企業文化、経営理念といったものを実現するために作り上げられている」

すなわち、経営を見直すという決断のもと、社内の仕組みを作り変えていくことで、ワークスタイルも変革する――。北氏のこの考えは、IBM自身の経験によるものだ。

ワークスタイル
氷山をたとえに、ワークスタイルについて説明した北氏

IBMは2002年、業績悪化に伴って株価が半減するという事態に陥った。翌年には業績を回復させたものの、株価は5年にわたって低迷を続けた。その背景には、インターネットの爆発的な普及を追い風に短いスパンで次々と新サービスをグローバルに提供するネット企業の勃興があった。

「ビジネスの土俵もスピードも競争相手も変化していたのに、『IBMは何も変わっていない』というのが市場の評価だった」

日本IBM 北好雄氏
日本IBM ソーシャル事業部 ICP コンサルティングITスペシャリスト 北好雄氏

この危機を脱するべく、最初に行ったのが企業価値を見直すこと。具体的には、創業以来守り続けてきた「最善の顧客サービス」「完全性の追求」「個人の尊重」という3つの信条の再定義からスタートした。

IBMが行った「企業価値の再定義」
IBMが行った「企業価値の再定義」

ここで生まれたキーワードが「One IBM」だった。IBMは当時、世界140数カ国の現地法人が、それぞれのマーケットに最適化したビジネスを個々に展開していたが、そのやり方ではグローバルな統一戦略を打ち出している競争相手に勝てない。そこで、各国の現地法人のビジネスプロセスを1つに統合した新しい企業形態(Globally Integrated Enterprise:地球で1つの企業)の確立に着手した。

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