小売店やイベント会場、美術館、観光地などでは最近、ユーザーの位置情報を活用したサービスの提供が活発になっている。例えば、店舗の前を通ったユーザーを認識し、クーポンをプッシュ配信するなどのサービスだ。
「近接情報は、今日のモバイル体験にとって不可欠な要素になってきている」。Wi-Fi Alliance マーケティング担当ヴァイス・プレジデントのケリー・デイヴィス フェルナー氏はこう語ったうえで、「近接情報を活用したビジネスによる利益は、2019年には433億ドル規模になるとする予測もある」と説明した。
このように急成長が期待される近接情報サービスだが、近接情報を把握するための既存技術には、様々な課題があるという。例えば、GPSやセルラー基地局による計測は、位置データに依存しており、実際の近接状況を直接的に把握できる技術ではない。また、「屋内や非常に混雑した環境では機能しにくいという課題もある」。
既存の近接情報技術の課題
さらに、フェルナー氏は、おそらくはBluetooth Low Energyを利用したiBeacon等を念頭に、「既存の近接情報ソリューションはクラウドに依存しており、見つけた情報が15分前のものだったり、機会損失が発生する」「すぐに広帯域の通信にガイドできない」「非常に至近距離でないと認識できない」などの課題を指摘。「こうした既存技術の課題を埋めようとしているのが、Wi-Fi Awareだ」と紹介した。