多職種間で的確かつスピーディに情報共有できるように
甲府市医師会では現在、70台のiPadを約40名の在宅医のほか、訪問看護師やケアマネジャー、訪問薬剤師などに配布。主治医を務める在宅医が、その患者専用のチャットルームを作成し、そこに訪問看護師などの関係者を招待するというかたちで、KDDI ChatWorkを運営している。
これにより、その患者に携わる関係者以外はチャットルーム内の情報を閲覧できないというセキュリティを確保しながら、効率的な情報共有を実現しているのだ。
KDDI ChatWorkの利用イメージ。「写真も簡単に共有できるのが大変便利」と関係者は口を揃える。 例えば、患部、検査結果表などの書類、処方した薬剤など、様々なものを写真に撮って共有しているという |
では、iPadとKDDI ChatWorkは実際、在宅医療の現場でどう活躍しているのだろうか。
「例えば、患者さんに褥瘡(じょくそう)ができてしまったら、iPadで写真を撮って報告するなど、他の職種の方に『これは知っておいてほしいな』というとき、KDDI ChatWorkを使って情報共有しています」
こう語るのは、ゆうき訪問看護ステーション 所長の並木奈緒美氏だ。「電話と違って、相手の都合を考えずに情報共有できるのが、チャットの一番いいところですね」
ゆうき訪問看護ステーション 所長 並木奈緒美氏 |
「情報が早く入ってくるようになったことが一番のメリット」と話すのは、居宅介護支援事業所いぶきの管理者でケアマネジャーの宮下貴文氏である。
ケアプランの作成など、介護全体をコーディネートするのがケアマネジャーの役割。このためケアマネジャーは、ケアサービスの利用者のことをトータルに把握しておく必要があるが、以前は情報入手が遅れるケースも少なくなかったという。
例えば、体調に変化が見られたので、訪問看護師が在宅医に相談の電話をかけたとしよう。基本的に1対1向けのコミュニケーションツールである電話では、そのほかの関係者との情報共有は同時に行えない。
一方、KDDI ChatWorkのグループチャット機能は、複数人でコミュニケーションするための機能だ。このため訪問看護師がKDDI ChatWorkで在宅医に報告すれば、即座にケアマネジャーをはじめとする他職種の関係者とも情報共有できる。
「情報共有のスピードが上がったことで、例えば褥瘡の状態が写真で報告されたら、『マットレスを交換しましょうか』とすぐ家族に相談の電話をかけたり。以前よりも、素早い対応がとれるようになりました」(宮下氏)
居宅介護支援事業所いぶき 管理者 宮下貴文氏 |