2015年5月に開催されたイベント「ワイヤレスジャパン2015」で、ジュニパーネットワークスの長滝信彦氏は「Mobile Vision 2020 ――5年先も最先端のモバイル・インフラであるために――」と題する講演を行った。
長滝氏はまず、モバイルデータのトラフィックが5年後には336EB(エクサバイト)にまで増大すると予測されていることを紹介した。ブロードバンドが普及したときに様々なサービスが登場し、ユーザーの生活を大きく変えた。今後5年間でそれと同じようなことがモバイルの世界でも起こるという。
また、ウェアラブルデバイスやIoTといったものが普及し、単純にトラフィックが増えるだけでなく、相当数のデバイスがインターネットにつながる。
センサーからクラウド上のソフトウェアにデータを送り、クラウド上で何かしらの処理を行ってサービスを提供するようなビジネスが生まれてくると考えられ、それを実現させるためのプラットフォームが求められる。
「ジュニパーネットワークスは、今後5年間のモバイルインフラに関して強みを持っている」と長滝氏はいう。その上で長滝氏は、最先端のネットワーク技術として4つ挙げた。「サービス提供プラットフォーム」「テレコクラウド」「WAN SDN」「次世代バックホール」――の4つである。
仮想化環境で構築されたプラットフォームを提供
サービス提供プラットフォームについて、現在、通信事業者が持つ「Gi LAN」はスタティックに様々なアプライアンスとつながっていることが多い。そのため、1つのデバイスが壊れると運用に大きな支障を来す。
ジュニパーネットワークスは、この問題を解決するためにサービスコントロールゲートウェイを、同社の「MX」ルーター上で動かしている。ネットワークにモバイルからトラフィックが入り、P-GWを越えたあとにIP化され、IPサービスが適用されてインターネットに抜けていく。ここでユーザー認証の情報などをポリシーサーバーが識別し、ダイナミックにポリシーを適用することができる。
スタティックにコンフィグを行ってトラフィックを振り分けるのではないため、ポリシーに応じてダイナミックにトラフィックを識別して分散させることが可能だ。
「サービス提供プラットフォーム」の概要 |
Gi LANはハードウェアのアプライアンスで構成されているのが現状だ。だが、NFVやSDNの技術が成熟し、導入フェーズに入ってきているため、今後、仮想化が進むと予測される。ただ、実際にNFVのサービスをインテグレーションするにはスキルが必要だ。
従来のネットワークオペレーターの組織構造を見ても、ネットワーク運用者とサーバー運用者には壁があり、技術的にもそれぞれ専門性を突き詰めている。そのため、一からインテグレーションするのは難しい。
そこでジュニパーネットワークスは、NFVという切り口でプラットフォームを提供できるソリューションを用意した。
クラウド上のラック内にスイッチとルーター、検証の取れたサーバーとストレージが設置され、ジュニパーネットワークスのSDNコントローラーソフト「Contrail」をインテグレーションしたテレコクラウドである。
「ジュニパーネットワークスは簡単に仮想化環境で構築されたプラットフォームを提供することを目指している」と長滝氏は話す。
「テレコクラウド」の概要 |