AWSを上手に使いこなすためのネットワークソリューション入門[前編]日本的クラウドファーストに「AWS Direct Connect」が必須なワケ

国内の大企業も続々と採用し始めたAWS――。いよいよ日本にもクラウドファースト時代が本格的にやってきているが、国内企業のAWS導入には「日本的クラウドファースト」といえる特徴がある。そして、日本的クラウドファーストを支えるネットワークサービスが「AWS Direct Connect」だ。

クラウドの「3つの懸念」の払拭に貢献するAWS Direct Connect

クラウドに対する懸念は、セキュリティ面だけではない。アマゾン データ サービス ジャパンの大谷晋平氏によれば、国内のエンタープライズ企業でAWSの採用が加速した要因としては、次の「3つの懸念」を払拭できたことが大きいという。

(1)クラウドのセキュリティ、(2)ネットワークの接続性、パフォーマンス、(3)既存資産の移行性の3つだ。そして、これら3つの懸念すべての解消に貢献するのがAWS Direct Connectである。

払拭された3つの懸念事項
出典:アマゾン データ サービス ジャパン資料

AWS Direct Connectは、社内のオンプレミス環境などとAWSのクラウド環境を専用線で接続できるサービスだ。クラウドというとインターネット上のサービスというイメージが強いが、閉域網で接続することも可能である。東京リージョンでは、2012年1月からAWS Direct Connectの提供を開始している。ちなみに、閉域接続サービスはAWSの専売特許ではなく、Microsoft Azure、IBM SoftLayer、NTTコミュニケーションズ、KDDIなどの主要IaaSでも提供されている。

「日本のお客様からのAWS Direct Connectへの引き合いは非常に強い」と大谷氏は話すが、その背景には日本企業ならではのクラウドファーストの進め方があるという。

アマゾン データ サービス ジャパン 大谷晋平氏
アマゾン データ サービス ジャパン 技術統括本部 エマージングソリューション部 部長/ソリューションアーキテクト 大谷晋平氏

AWSが「あたかも社内イントラの延長のように」

クラウドファーストの動きの着火点となったのは、米国政府が2011年2月に明文化した「クラウドファーストポリシー」だが、大谷氏によれば、「海外のクラウドファーストは、データセンターごとクラウドに移す」傾向がある。これに対して、日本ではクラウドファーストといっても、データセンターごと一気に移すケースは少ない。

「日本的クラウドファーストの特徴は、人事・給与のサブシステムやSFAのサブシステムなど、サブシステムごとにクラウドに移行すること。日本の場合、サブシステム毎にパートナーがいたり、契約更新のタイミングが異なっているので、順次クラウドに移行するケースが多い」と大谷氏。つまり、日本ではクラウドファーストといっても、オンプレミスとクラウドのハイブリッドが大多数である。

そして、社内イントラとAWSをつなぐネットワークとしては、インターネットVPNも選択できるが、「専用線ではない、ということはあまりない」という。

日本的クラウドファースト
出典:アマゾン データ サービス ジャパン資料

AWSには、VPC(Virtual Private Cloud)という仮想ネットワークを構築するための機能が用意されている。論理的に分離された、そのユーザー専用の仮想ネットワークをAWS内に構築できる非常に重要な機能だ。「AWSはパブリッククラウドだが、VPCを利用すると仮想的にプライベートクラウドを構築でき、あたかもAWSが社内イントラの延長線上にあるかのように見える」(大谷氏)

このVPCにさらにAWS Direct Connectを組み合わせれば、まるで専用線でつながった社内データセンターと同じように、AWSを社内システムの延長として利用できる。

社内イントラの延長でクラウドを
出典:アマゾン データ サービス ジャパン資料

ここで大谷氏が挙げた3つの懸念の話に戻ろう。ハイブリット型の日本的クラウドファーストにおいて、セキュリティ、ネットワークの接続性とパフォーマンス、既存資産の移行しやすさの3つの懸念を解消するうえでは、オンプレミス環境とクラウド環境をつなぐネットワークがきわめて重要な役割を担う。そこで、インターネットではなく、AWS Direct Connectによる閉域接続を選択する企業が多いのである。

次回は、さらに詳しくAWS Direct Connectのメリットを見ていくほか、その仕組みや導入方法、主要サービスなどを紹介する。

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