【国際紙パルプ商事】Androidスマホと「0AB~J番号」でなぜ顧客満足度が向上したのか?

国際紙パルプ商事はシャープのAndroidスマートフォン「AQUOS PHONE」とKDDIの「auオフィスナンバー」を導入し、業務効率向上とコスト削減を実現した。さらにスマートフォンから0AB~J番号を利用可能にすることで、顧客からの信頼も向上したという。

「0AB~J番号」で顧客に安心感を与える

国際紙パルプ商事では、外出先のスマートフォンから取引先などへ電話をかける際、会社の電話回線を用いて発信できる「コールバック」(V字発信)という方式を以前は用いていた。

コールバック(V字発信)方式は、当時としては画期的だった音声と通信を駆使した通話方式で、これにより同社は固定電話並みの通話料金を実現した。また、スマートフォンの内線化による社内連携力の強化、個々のスマートフォンへのダイヤルイン番号の付与による会社宛の部署ダイヤルの呼量分散、電話機の再配置による固定電話機およびスマートフォンの適正台数への削減も図った。さらに、このコールバック(V字発信)方式には、相手に自分の携帯番号は通知せず、会社の「0AB~J番号」を通知できるというメリットもあった。

ただ、コールバック(V字発信)方式の問題は、通話環境により音質の劣化が顕著になる点であった。「顧客の声が聞き取れない」ということも少なくなかったという。また、通話相手とつながるまでに、何度もスマートフォンの画面をタップする必要もあった。

「採用当初は画期的なシステムだったのですが、従前の通話方式では、経路が煩雑で通話品質のさらなる向上を図るうえで技術的ハードルが高かったのです。そのため、これまでの費用対効果や運用を変えずして切り替えられる新たな通話サービスを模索していました」(満足氏)。そこでKDDIの営業担当者に相談したところ、勧められたのが「auオフィスナンバー」だった。

auオフィスナンバーとは、次のようなサービスだ。スマートフォンから電話をかける際、「0077-26」のプレフィックス番号を相手の電話番号の前に付けることで、相手先には名刺に書かれたダイヤルインの0AB~J番号を通知することができる。また、取引先などからの0AB~J番号宛ての着信を、登録したスマートフォンに着信させることも可能だ。0072-26のプレフィックス番号は、専用アプリがONになっていれば自動で付加されるため、自分で入力する手間も不要である。

「当社の電話の運用方法に則しており、運用を大きく変えずに移行できることもあって、auオフィスナンバーを採用することにしました」(高橋氏)

auオフィスナンバー
「0077-26」のプレフィックス番号を付けることで、相手には名刺に書かれているダイヤルインの0AB~J番号を通知できるauオフィスナンバー。プレフィックス番号は、専用アプリをONにしておけば、自動で追加される

2014年7月にauオフィスナンバーを導入したことで、音質は格段に向上した。また、専用のアプリを利用することで、何度もタップする必要がなく、手軽に使えるようにもなった。

auオフィスナンバー
auオフィスナンバーは、アプリを「ON」にするだけですぐに利用できる

さらに、BCP対策の強化につながることも、採用の大きなポイントだったという。従来のコールバック(V字発信)方式では、オフィスのゲートウェイ(回線収容装置)に着信するため、災害などでオフィスビルへの電力供給がストップすると利用できなくなるという課題があった。しかし、auオフィスナンバーなら、オフィスビルが停電しても、問題なく利用できる。

国際紙パルプ商事の各営業担当者の名刺にはダイヤルイン番号が印刷されているが、そもそも、なぜ同社は0AB~J番号にこだわるのだろうか――。「顧客に安心感を与えるためだ」と松永氏は言う。

「携帯番号の場合、圏外にいて着信できないことも考えられます。0AB~J番号なら、お客様はそういった心配もなく、安心して電話をかけられるはずです。また、携帯番号にかけるよりも、0AB~J番号にかけた方が通話料金は安く済むという点も考慮しています」

AQUOS PHONEとauオフィスナンバーで課題を解決した国際紙パルプ商事。導入担当者たちは、「“ハード”と“ソフト”の両面から改善できた」と話しているという。

Google Appsで異なる部署間のスケジュールを共有

国際紙パルプ商事では、「Google Apps」も利用している。現在は主に電子承認などで活用しているという。「電子承認をクラウド上で行うことで業務のスピードアップを図っています」

また、カレンダー機能も活用している。「Google Apps導入以前は統一されたグループウェアがなかったため、異なる部署間でスケジュールを共有できませんでした。しかし、Google Appsの導入で、異なる部署間でもスケジュールを共有できるようになり、予定の調整などがスムーズに行えるようになりました」と高橋氏。

国際紙パルプ商事では、基本的なポリシーとして、スマートフォンには業務用の情報を一切残さないようにしている。顧客の電話帳データもスマートフォン本体に保存するのではなく、アプリを使ってクラウド上の電話帳を利用する方式を取っている。iPhoneではなく、Androidを搭載するAQUOS PHONEを選んだ理由の1つには、この電話帳アプリとの互換性もあったという。

「今後は、通話機能のみならず、現場が所望する様々な営業ツールをスマートフォン上で展開していきたいです。その場合もスマートフォンにはデータを残さず、社内運用の強化やMDM等の管理ツールを最大限活用し、セキュリティ対策を万全にしたうえで、さらなる利便性を追求していきます」と語る満足氏。

AQUOS PHONEとauオフィスナンバーの導入で業務効率と顧客満足度の向上に加えて、コスト削減にも成功した国際紙パルプ商事――。Google Appsなどのクラウドサービスのさらなる活用により、次の一歩を踏む出す準備も万端である。

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