<連載>フィジカルAIの通信・システム要件フィジカルAIの全体設計 考える場所、人との協働、継続学習

フィジカルAIの性能は、AIやロボットの性能だけでは決まらない。考える脳と動かす脳をどう配置するか、人間がどこまで実行を引き取るか、AIをどう更新し続けるかを一体で回し続ける設計こそが、価値を左右する。

現実世界を認知・把握し、取得した情報に基づいて判断し、なすべき行動を決め、機器やロボット等の操作によって実行する。この「把握」「判断」「決定」「実行」の4ステップによって、現実世界で機能するのがフィジカルAIだ。

この各機能と計算処理をどこに配置し、どう連動させるのか。さらに、一度配備したAIをどう進化・更新するのか。こうした全体の設計が、フィジカルAIの導入にあたっては欠かせない。まずは、フィジカルAIというシステムの全体像を捉えよう。

OODAループで捉えるフィジカルAI

その補助線となるのが、OODAループだ。ソラコム テクノロジー・エバンジェリストの松下享平氏は、フィジカルAIを「観察・判断・決定・行動」というOODAループになぞらえて説明する(図表1)。米国発祥の、行動パターンを言語化したモデルを基とするこの枠組みは、現実世界を「見る(Observe)」、それについて「考える(Orient)」「決める(Decide)」、そして物理世界で「動かす(Act)」という一連の循環を表す。

図表1 人間の行動“OODAループ”とフィジカルAI

図表1 人間の行動“OODAループ”とフィジカルAI

フィジカルAIとは、現実世界を観察し、サイバー世界の計算結果を作用させるIoTの発展型とも取れる。「IoTセンサーやカメラが担ってきたのは『見る』部分であり、そのため、これまでのIoTやDXは可視化・通知にとどまっていた」(同氏)。ここに基盤モデルやAIエージェントが加わることで、「『考える』『決める』までがデジタル空間内で完結するようになった」。

残るは、AIエージェントが決めた行動を物理世界で「動かす」工程である。ここまで含めた「ループをうまく回していくことがフィジカルAI」と松下氏。このループを構成する機能を、どこに配置し、誰が動かし、どう更新し続けるのか。以下、順に見ていこう。

ソラコム 事業開発マネージャー兼テクノロジ・エバンジェリストの松下享平氏

ソラコム 事業開発マネージャー兼テクノロジ・エバンジェリストの松下享平氏

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