本連載は、私がミリ波の市場創出活動の一環として企画したものである。初回では、その具体的な取り組みの1つとして、XGMF「推し活×5G」プロジェクトの立ち上げ背景について紹介した。
今回はその続編として、「ワイヤレスジャパン×WTP2026」(会場:東京ビッグサイト、会期:5月27日~29日、以下、WTP2026)で実施したミリ波イベントを紹介したい。

ワイヤレスジャパン×WTP2026で実施したミリ波イベントの様子
私は現在、村田製作所でミリ波市場創出に向けた企画活動に取り組んでおり、XGMFでは推し活×5G(ミリ波・ローカル5G)プロジェクトのリーダーも務めている。
村田製作所の社是には、「技術を練磨し 科学的管理を実践し 独自の製品を供給して文化の発展に貢献し」という一節がある。私はこの言葉を、単に優れた電子部品を供給するだけでなく、その技術が使われる場や新しい体験そのものを作り出すことも村田製作所の役割であると捉えている。
ミリ波市場創出を考える上で重要なのは、通信速度や容量等の性能値を示すことだけではない。その技術によって、ユーザーが本当に価値を感じる体験を作れるかどうかである。
その観点で注目しているテーマの1つが「推し活」である。ここで言う推し活は、アイドルファンに限らない。熱量を持って応援する対象があるなら、それはすべて推し活ではないかと考えている。
私自身も推し活ユーザーの一人である。以前、Snow Manのライブビューイングを映画館で視聴した際、ドローン映像に切り替わり、メンバーにかなり近い距離まで寄った臨場感のある映像が流れたことがあった。視点としては非常に面白い。しかし、その瞬間に画質が大きく低下すると、せっかくの臨場感が逆に損なわれてしまう。「この視点を高画質のまま届けられれば、体験価値は大きく変わるのではないか」─。そう感じたことが、今回の企画につながる原体験の1つになっている。
また、昨年家族でSummer Sonic Bangkokを観覧した際には、子どもの対応をしながらスマートフォンで撮影を続ける難しさも感じた。本来は目の前のライブに集中したい。しかし、後から見返したい気持ちもある。公式側が高画質な映像を提供できれば、ユーザー自身が撮影し続ける負担を減らし、ライブそのものに集中できるのではないか。
こうした実体験は、単なる趣味の話ではなく、ミリ波市場創出に向けたユーザー体験起点の仮説である。では、ミリ波はどのような文化の発展に貢献できるのか。その問いへの1つの答えを探るため、WTP2026にてミリ波イベントを実施した。












