5Gの教訓を活かす
——6Gをより価値あるものにしていくには、5Gの教訓を活かすことが重要になります。5Gから得られた示唆や学びについて、どうお考えですか。
中村 モバイル業界では、20年おきのサイクルで大きな波が来ます。1G/2Gの20年は「移動しながら音声通話ができる」という携帯電話そのものの普及期でした。3G/4Gの20年はマルチメディア化が進み、データ通信が生活に浸透した時代です。そして5G/6Gも1つの塊として捉えており、新たな産業を切り開くフェーズだと考えています。
ただ、現実はそう簡単ではありません。5Gを様々な業界で使っていただき、社会課題の解決や新たな収益源の創出につなげていきたいと考えていましたが、エンタープライズ領域では十分なマネタイズに至っていないのが現状です。
その原因の1つは、業界間の壁の高さにあると捉えています。ICT業界で当たり前に使っている「ビットレート」や「上り・下り」といった言葉が通じない場面も少なくありませんし、「5Gは高速・大容量」と説明してもお客様にはなかなか響きません。
結局のところ、5Gによってお客様が「どんなメリットが得られるのか」「どんな課題を解決できるのか」まで具体的に落とし込んで説明しなければ、お客様に理解していただけません。にもかかわらず、私たち自身もそこまで十分に整理できておらず、「5Gはすごい」「何にでも使える」といった説明にとどまっていた点は反省すべきだと考えています。

——XGMFとして、今後どのような取り組みに注力していきますか。
中村 5Gの利点をお客様に伝わる言葉で説明しなければいけないと考えています。そこを丁寧に行わずに6Gの話をしてしまうと、「またすぐにシステムを入れ替えなければならないのか」といった誤解を招きかねません。だからこそ、まずは相手の課題に寄り添い、その解決策として5Gを位置づけることが必要です。その積み重ねが、6Gの収益化にも結び付くはずです。
ただ、我々だけの取り組みでは広がりに限界があるため、業界横断での共同プロジェクトやユースケースの開拓をさらに推進していきます。こうした取り組みを通じて5G/6Gの価値への理解を着実に深めていただき、お客様と通信業界がWin-Winとなる関係の構築を目指します。
もちろん、国際連携にもより一層力を入れていきます。世界の6G関連団体とのワークショップや人材交流を深めながら、日本の研究開発の成果を共有し、日本の国際的なプレゼンスを高めていきたいです。
また、先ほど触れた周波数の検討もカギとなります。XGMF自身が先頭に立って調整を担う立場ではありませんが、議論ができるだけスムーズに進むよう、関係者間の情報交換をサポートすることが我々の役割です。
——2030年の6G商用化まで、残り4年です。
中村 今はまだ2020年代の後半に入ったところです。このタイミングで何とか5Gの活用を広げていくことができれば、6Gで一気に花開かせることができると思っています。その結果として、新たなレベニューの拡大や社会課題の解決に貢献できるようにしたいです。5Gはまだ発展途上にありますが、2020年代後半でしっかりと成果を出し、その延長線上で6Gの良いスタートダッシュを切れればと考えています。
[月刊テレコミュニケーション 2026年6月号の記事を再構成]













