「モビリティ投資のROIが高い企業の共通点とは?」――アクセンチュアがモビリティ活用で提言

アクセンチュアは2014年7月30日、企業のモビリティ活用に関する記者説明会を開いた。最も重要なのは、「スマートフォンやウェアラブルデバイスを活用し、“報告させない仕組み”を作ること」。また、「CEOアジェンダ」として取り組むことも欠かせない。日本企業はモビリティを取り込むことで、“ハイパフォーマンス企業”へと生まれ変われるという。

グローバル企業の経営者は、何に脅威を抱いているのか――。

「アクセンチュア グローバルCEO調査 2014」では、「新規市場参入による競争激化」「主要な市場での景気低迷と需要低下」「既存産業における企業統廃合」がトップ3に挙がっているが、これらリスクを引き起こす大きな要因となっているのが、デジタル化の進展による業界崩壊とイノベーションである。

例えば、スマートフォンの爆発的普及は、その一方で様々な企業や業界を衰退に追いやった。アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクターの清水新氏は、これを「創造的破壊」と呼ぶ。

企業経営者は何をリスクとして捉えているか?
企業経営者は何をリスクとして捉えているか?

では、企業は創造的破壊の時代にどう立ち向かえばいいのか。カギを握るのは、やはりデジタルテクノロジーだ。「これまで創造的破壊者によって攻められていた企業が、デジタルテクノロジーを使って、自身の持つ顧客基盤や技術などの既存資産を解放していく」とアクセンチュア デジタルコンサルティング本部 モビリティサービスグループ統括の丹羽雅彦氏。なかでも、重要なのが「モビリティ」だという。

アクセンチュア清水新氏 アクセンチュア 丹羽雅彦氏
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 マネジング・ディレクター 清水新氏 アクセンチュア デジタルコンサルティング本部 モビリティサービスグループ統括 丹羽雅彦氏

清水氏によれば、世界のハイパフォーマンス企業には2つの大きな特徴があるそうだ。「予測・予知型の経営と、スピード経営のためのプロセスを社内に持ち得たこと」だ。そして、モビリティは、世界のハイパフォーマンス企業が20年前からやってきたこの経営モデルを、日本企業が社内に取り込むチャンスをもたらすという。

日本企業に求められる新経営モデル
日本企業に求められる新経営モデル。モビリティがその第一歩である「最前線を変革」を担う

経営者が、将来を予測・予知しながらスピーディに経営判断していくには、そのための情報がまず必要になる。しかし、既存の組織構造では、現場から経営層に報告が上がってくるまでに「過去の情報」になってしまっている。

そこで、清水氏は「一番重要なことは、報告型のプロセスをやめること」と話す。スマートフォンやウェアラブルデバイスなどを活用し、最前線で起きている事象を直接吸い上げる仕組みを作るべきだという。

丹羽氏は2つの事例を紹介する。ある店舗チェーンでは、店舗スタッフがスマートフォンから在庫の発注・確認を行えるようにした。その結果、基幹システムへのアクセスは20倍に急増。「20倍というと、これまで在庫の確認・発注が1日1回だったのが、20数分に1回に増えた計算。かなりリアルタイムに情報が集まるようになり、業務がまったく変わってくる」(丹羽氏)

もう1つは、フィールドエンジニアにスマートウォッチを配備した事例だ。従来はメンテナンス作業の開始と終了時間しか分からなかったが、スマートウォッチを活用して作業工程ごとに完了時間を記録。どの工程がボトルネックとなっているのか、エンジニアごとの個人差が大きい工程はどれかなど、細かい粒度で現場情報を取得できるようにした。こうした細かい粒度の情報は、メンテナンス作業の効率化だけでなく、メンテナンス性に優れる製品開発にも活きてくる。

企業のモビリティ活用というと、営業員やフィールドスタッフなど、現場業務の効率化がまず思い浮かぶが、「それもあるが、フロンドエンドの改革ではなく、フロントエンドの情報から企業全体を改革するのがポイント」と丹羽氏は指摘する。

「創造的破壊の時代において、破壊される側にいくのか、成長するのか」――。清水氏は、モビリティをどう活用していくかが、その「分岐点になる」と強調する。

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