EV向けワイヤレス給電の最新動向を三菱総研が解説 まずは“停車中”の充電から

国内でも「EV向けワイヤレス給電」の実用化に向けた動きが活性化してきた。まずは停車中のEVに充電する「SWPT」からスタートし、道路へ連続的に埋設された送電コイルで走行中の車両に給電する「DWPT」へと発展していく見込みだ。三菱総合研究所らが発起人を務めるEVワイヤレス給電協議会の調査によると、EV向けワイヤレス給電が本格普及した場合、約2兆円の投資抑制と2460万トンのCO2排出量削減が期待できるという。

三菱総合研究所(MRI)は2026年6月17日、「EV(電気自動車)向けワイヤレス給電の最新動向」をテーマにしたメディア向け説明会を開催した。

EV向けワイヤレス給電とは、ケーブルやプラグを用いず、地面に敷設した送電コイルからEV側の受電コイルへ電力を供給する仕組みだ。方式は大きく2つに分かれ、駐車場などに停車中のEVに充電する「SWPT(Static Wireless Power Transfer)方式」と、道路に連続的に埋設した送電コイルで走行中の車両に給電する「DWPT(Dynamic Wireless Power Transfer)方式」がある。

走行中に充電できれば、充電時間や待機時間を削減できるほか、途中で充電スポットに立ち寄る回数も減らせる。また、充電器を路面に埋設するため外部に露出する部分が少なく、有線充電器と比べて劣化しにくいという利点がある。走行中に継続的に電力を供給できるため、大容量バッテリーを搭載する必要がなく、EVの低コスト化・軽量化、バッテリー製造時のCO2排出量削減にもつながると期待されている。

MRI モビリティ・通信政策本部 主席研究員の高橋香織氏は、「まずはプライベート空間におけるSWPTから地ならし的にスタートする」と予測。その後、2020年代後半にバス停やトラック専用レーンなどを活用したDWPTの実証が進み、2035年以降に事業化や本格的な社会実装のフェーズへ移行する見通しだ。

三菱総合研究所 モビリティ・通信政策本部 主席研究員 高橋香織氏

政府もEV向けワイヤレス給電の実用化に向けて本腰を入れ始めている。国土交通省が昨年10月に策定した「道路分野の脱炭素化政策集 Ver.2.0」では、「公道上の走行中給電の技術開発・検証」が重要施策の1つとして明記された。また、国土技術研究センター(JICE)が昨年3月に公募した「EV普及に向けた給電インフラに関する技術」事業では、大成建設や大林組など複数の事業者が選定されている。

民間の動きも活性化している。デンソーは今年3月に発表した「2030年中期経営計画COER2030」で、2027年度以降に公道での実証を開始し、2029年度に市場投入を目指す方針を打ち出した。NEXCO東日本も2027年度以降、館山自動車道でDWPTの実証をスタートする計画だ。

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