生成AIの急速な普及を背景に、データセンター(DC)の電力需要はかつてない規模で膨張している。国際エネルギー機関(IEA)の報告書によれば、2024年に約415TWhだったグローバルにおけるDCの電力消費量は、2030年には約945TWhへと倍増する見通しだ。この945TWhの電力をすべて化石燃料で賄った場合、CO₂排出量は数億トンに達し、中規模国家の総排出量に匹敵するとの試算もある。
こうした生成AI時代の電力問題を解決する手段の1つとして、再エネの重要性が叫ばれて久しい。ただ、太陽光発電などの再エネは、天候や時間帯によって発電量が大きく左右されるため、現時点では、非化石証書を購入して「実質的に再エネ由来とみなされる電力」を利用するDC事業者も少なくない。
しかし近年、RE100をはじめとする国際イニシアチブから、単なる証書購入ではなく、物理的な再エネ電源の導入・活用を求める圧力も強まっており、ハイパースケーラーなどのDC事業者が大規模な再エネ発電所と長期PPA(電力購入契約)を締結する動きが広がっている。
例えばメタは昨年5月、エネルギー企業の米AESとテキサス州およびカンザス州における合計650MW規模の太陽光発電設備に関する長期PPAを結び、自社DC向けの電力として活用していく方針を示した。グーグルも昨年11月、仏TotalEnergiesと15年間のPPAを締結。オハイオ州の太陽光発電所から最大1.5TWhの再エネ電力の供給を受ける計画である。
国内では、NTTデータが東京電力エナジーパートナーおよびプロメディアとPPAを締結している。関東(埼玉・栃木)に新設された太陽光発電所から年間約440万kWhの電力供給を受け、同社の「三鷹データセンターEAST」の使用電力の約20%を賄う。これにより、年間約1580トンのCO₂排出量削減が見込めるという。
IOWN APNでCO₂削減
再エネ100%で運用されるDCも登場し始めている。例えば京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は、北海道・石狩市に「ゼロエミッション・データセンター 石狩(ZED石狩)」を建設。石狩エリアで発電される風力や太陽光などのクリーンエネルギーのみで稼働するDCだ。
NTTとKCCSが実施した実証のイメージ
そして今年3月には、千葉・流山市の倉庫とZED石狩をIOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)で接続する実証を実施。画像解析やAMR(自動搬送ロボット)の制御などに必要なAI処理を、APNを介して遠隔地のZED石狩に集約することで、再エネ100%によるAI処理を実現し、CO₂排出量を削減できることを確認したという。
ただ前述の通り、太陽光発電は夜間や悪天候時には発電できないという弱点を抱える。将来的にはDCに蓄電池を設置して電力を補完する方法も考えられるが、蓄電池のコストはまだまだ割高だ。

日本総合研究所 リサーチ・コンサルティング部門 環境・エネルギー・資源戦略グループ シニアマネジャー 早矢仕廉太郎氏
また、「例えば数日間にわたって雨天が続くようなケースには、太陽光発電だけでは十分に対応しきれない。当面は火力発電などの安定電源と組み合わせて運用していくのが現実的だろう」と日本総合研究所(以下、日本総研) リサーチ・コンサルティング部門 環境・エネルギー・資源戦略グループ シニアマネジャーの早矢仕廉太郎氏は話す。

三菱総合研究所 政策・経済センター VCP政策研究グループリーダー 研究提言チーフ(エネルギー・循環) 主席研究員 野本哲也氏
三菱総合研究所(MRI)政策・経済センター VCP政策研究グループリーダー 研究提言チーフ(エネルギー・循環) 主席研究員の野本哲也氏は、APNなどのオール光ネットワークが、再エネ電源を活用する地方DCの展開を後押しすると評価しつつも、企業にとってAPNは依然として高価だと指摘する。「IOWNのさらなる低廉化が進めば、都市部・遠隔地を含めたDC配置の自由度が高まる。IOWNはDC分散化の可能性を広げる技術であり、集中の合理性も強化する」













