EV向けワイヤレス給電の最新動向を三菱総研が解説 まずは“停車中”の充電から

国内でも「EV向けワイヤレス給電」の実用化に向けた動きが活性化してきた。まずは停車中のEVに充電する「SWPT」からスタートし、道路へ連続的に埋設された送電コイルで走行中の車両に給電する「DWPT」へと発展していく見込みだ。三菱総合研究所らが発起人を務めるEVワイヤレス給電協議会の調査によると、EV向けワイヤレス給電が本格普及した場合、約2兆円の投資抑制と2460万トンのCO2排出量削減が期待できるという。

EV向けワイヤレス給電の事業採算性は?

今年2月には、EV向けワイヤレス給電の早期実用化を目指し、MRIや関西電力らを発起人とした「一般社団法人 EVワイヤレス給電協議会」が設立された。充電器メーカーや自動車メーカー、電力会社、道路・施設管理者など計86社が参画している。

同協議会がEV向けワイヤレス給電の経済性と脱炭素効果を検証したところ、大型トラックに搭載される大容量バッテリーをDWPT対応の小型バッテリーに置き換えることで、運送事業者などが負担する車両・バッテリー関連の投資を年間2兆円抑制できるという。また、バッテリー製造時のCO2排出量も年間2460万トン削減できるとした。

全国整備時の経済性と脱炭素効果

加えて、東京-大阪間の幹線道路に総事業費1350億円を投じてDWPTのインフラを整備し、20年で償却する前提で事業採算性を試算した。ユーザーが享受する便益(バッテリーの維持・管理コスト削減など)を考慮した結果、5年目に単年度黒字化を達成し、9年目には累積損失を解消できるとの試算結果が示された。

東京-大阪間の事業採算性

SWPTが「日々の運用に関わる不安」を解決

MRIは今年に入り、バス事業者や物流事業者と連携してSWPTの実証を進めている。2月にはバス事業者の営業所内や折り返し地点に、4月には物流事業者の拠点内に充電システムを整備し、供給電力でEVバス・トラックが走行可能か検証した。

高橋氏によると、EVバス・トラックの導入を検討する事業者からは、「バッテリーの劣化によって数年後に航続距離が低下するのではないか」「夕方や夜間に電池残量が不足するのではないか」といった、日々の運用に関わる不安の声が多く聞かれるという。SWPTは、こうした課題を解決できるとした。

EVバッテリーの寿命を延ばすには、SOC(State of Charge:充電残量)を20~80%程度の範囲で維持することが有効とされる。一方、夜間充電を前提とした運用では、満充電の状態で出発し、低SOC(0~20%程度)で帰庫するケースが一般的だ。SWPTインフラを各所に整備すれば、運行中にもこまめな充電が可能となり、SOCを20~80%の範囲に保ちやすくなるという。

“ちょこちょこ充電”でバッテリー劣化を抑制

また、今回の実証では、SWPTを試験導入したことで、最終帰庫時のSOCは50%から65%へと改善。これにより、夜間充電のみの運用と比べて、バッテリー交換時期の後ろ倒しや、現在の運行ダイヤ・運用条件の長期維持が期待できるとした。

実証実験データからも有効性を確認

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