「ワイヤレスジャパン×ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP) 2026」の総務省ブースでは、2025年度に終了した「電波資源拡大のための研究開発」「戦略的情報通信研究開発推進事業」(SCOPE電波有効利用促進型)の成果展示が行われている。

総務省ブース
「周波数資源の有効活用に向けた高精度時刻同期基盤の研究開発」は、より高精度で信頼性の高い時刻同期基盤の実現を目指す、情報通信研究機構(NICT)を中心とした複数の機関・企業による取り組み。地政学リスクの高まりなどを背景にGNSSジャミングへの懸念が高まるなか、GNSSに過度に依存しない時刻同期を支える技術として注目されているのが小型原子時計だ。本研究開発では、半導体製造技術などを活用して原子時計モジュールを小型化。従来の据え置き利用を前提としたサイズから数センチ四方に縮小することで、将来的には車載利用も可能になるという。
同時に、日本標準時に準拠したより正確な時刻情報を配信することも目的としている。日本標準時を管理するNICTが中心となることで正確性を担保し、金融取引をはじめとする各産業での活用を見込む。

原子時計のサンプル
国際電気通信基礎技術研究所、パナソニックインダストリー、東京科学大学らによる「テラヘルツ波による超大容量無線LAN伝送技術の研究開発」では、150GHz帯の電波を利用した無線LANによる映像伝送のデモを展示している。
市販のWiGig機器から出力される60GHz帯信号を150GHz帯にアップコンバートすることで、3Gbps相当のスループットを実現し、高画質な映像伝送が可能であることを示した。担当者によれば、「50cmなら3Gbpsをエラーフリーで通信できる」という。高スループットと安定性を活かし、データセンター内の近距離配線の一部無線化や、高精細VR映像の低遅延伝送といった用途が期待される。

150GHz帯無線を利用した映像伝送のデモ
信州大学、慶應義塾大学、工学院大学、電気通信大学は「高度無線環境情報共有型無線センサネットワークの研究開発」の成果を紹介した。低消費電力で長距離通信が可能なLPWAN(Low Power Wide Area Networks)はIoTネットワークを支える重要な基盤だが、端末の増加によりパケット衝突が生じ、将来的には安定した通信が維持できなくなる恐れがある。
このテーマでは、各端末のキャリアセンス能力をセンシングによって評価することで、パケット衝突を回避する技術を複数開発した。また、920MHz帯を共有するLoRaとWi-Fi HaLowの間では、広帯域のWi-Fi HaLowが近傍のLoRaの送信機会を低下させるという問題があるが、この事象の回避につながる技術開発にも取り組んだ。Wi-Fi HaLowの信号を検知し、ゲートウェイ側でLoRa通信を制御することで干渉を抑えるという仕組みだ。

Wi-Fi HaLowによる近傍のLoRaの送信機会低下を回避する技術
なお、「電波資源拡大のための研究開発」の成果発表会は会期初日の5月27日13時から、「戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」の成果発表会は会期2日目の5月28日13時から、それぞれセミナー会場Cで開催。研究開発者自身から技術のエッセンスを聞くことができる貴重な機会だ。
また総務省ブースでは、全国の高専生によるワイヤレス技術コンテスト「WiCON2025」の成果展示も行われている。こちらの成果発表会は会期3日目の5月29日13時から16時まで、セミナー会場Cで開催される。









