ヴイエムウェア(米VMware社の日本法人)は2014年4月24日に東京都内で記者会見を開き、ネットワーク仮想化プラットフォーム「VMware NSX」を核としたネットワーク仮想化ビジネスの拡大に向けた新たな施策を発表した。
VMware NSXは、日本でも2013年にNTTコミュニケーションズ、今年に入ってニフティに導入されるなど、サービスプロバイダーでの採用が進んでいる。今回打ち出された施策は、通信事業者/データセンター事業者にとどまらず、大規模企業ユーザーも対象とするネットワーク仮想化の導入支援体制の構築することでVMware NSX、さらにはこれを活用したSoftware-Defined Data Center(SDDC)の本格展開につなげようとするものだ。
記者会見で説明に立った三木泰雄代表取締役社長は、「導入・運用ノウハウの欠如、技術者の不足、パートナーの実績が見えにくいことがネットワーク仮想化の導入障壁になっている。これらを解決することでサービスプロバイダーのみならず大規模ユーザー企業の導入が見込める」とした上で、3つの新施策を明らかにした。
その1つが、海外での実績を踏まえたコンサルティングサービスの提供である。顧客環境へのネットワーク仮想化の導入に際して、事前の技術的な検証支援から導入支援、運用設計支援までをトータルで提供する。
2番目が、ネットワーク仮想化などの最新分野に対応するグローバルでの新たなパートナー制度「Elite Initiative(エリート・イニシアティブ)」の導入である。今回、伊藤忠テクノソリューションズ、ネットワンシステムズ、日立製作所、富士通の国内4社の参加が発表された。
最後がVMware NSXを中心としたネットワーク仮想化に関する認定資格の立ち上げで、2014年中に実施される。
(左から)ヴイエムウェアの三木泰雄代表取締役社長、伊藤忠テクノソリューションズ 執行役員 ITサービス営業推進本部長の藤岡良樹氏、ネットワンシステムズ 執行役員 チーフマーケティングオフィサーの篠浦文彦氏、日立製作所 情報通信システム社 執行役員 プラットフォーム部門COOの和田宏行氏、富士通 プラットフォームソフトウェア事業本部 本部長の藤原隆氏、VMware米本社ネットワーク担当CTOのマーティン・カサド氏 |
なお、IDCの調査によれば、日本国内におけるSDNエコシステム市場(ハードウェア、ソフトウェア、サービス)は2014年から成長期に突入し、2015年には150億円、2016年には300億円を上回ると予測されているという。
記者会見には米本社ネットワーク担当CTOのマーティン・カサド氏も参加し、ネットワーク仮想化の最新動向を説明した。カサド氏は「SDNはネットワーク運用の効率化だけでなく、セキュリティ対策の観点からも注目されている」として、「ネットワークの仮想化により、セキュリティアプライアンスよりも柔軟かつ強固なセキュリティを実現できる」という見方を示した。