ビデオ会議ベンダーのポリコムジャパンは2014年4月9日、金融業界への取り組みについて記者説明会を開いた。2013年は前年比で2桁の成長を遂げ、過去最高の売上を達成できたというポリコムジャパン。代表執行役社長のフェゼック・ローン氏は、「特に金融、医療、教育業界で大成功を収めることができた」と説明する。
2014年は、事業戦略として4つの重点項目を設定しているが、その1つが「特定業種への注力」。なかでも金融業界に力を入れる。
ポリコムジャパンの2014年の事業戦略 |
ポリコムジャパンが金融業界を重視する背景には、金融業界のIT投資トレンドがある。IDCの調査によれば、国内企業のIT投資は2014年、全体では0.1%のマイナスになる見込みだ。しかし、金融業界に限ってみれば、1.1%成長。なかでもメガバンクは、3.5%成長とITへの投資意欲が高い。そして、メガバンクが投資先と考えているソリューションの1つに、ビデオ会議があるのだという。
BCPを入口に、幅広く活用されるビデオ会議
ポリコムジャパン ストラテジックアカウント営業部 部長の川上聡夫氏によると、金融業界でビデオ会議のニーズが高まっている要因の1つには、東日本大震災があるという。BCP対策の重要性がクローズアップされるなか、多くの金融機関がコミュニケーション手段の見直しに着手した。
「ただ、BCPとなると全拠点への投資となり、いつ来るか分からないBCP対策に非常に大きな投資をしないとならない。そこで、BCPだけではなく、より幅広く有効活用する方向でビデオ会議の導入が進んでいる」という。
では、金融機関は具体的にどのような使い方をしているのだろうか。川上氏がまず紹介したのは、顧客満足度の向上を目的としたビデオ会議の活用だ。
金融機関でのビデオ会議活用の一例 |
金融商品は複雑であり、各支店にすべての商品の専門家が配置されているわけではない。だが、支店の来客用応接室にビデオ会議を設置し、本社などにいる専門家とつなげば、より詳細な説明を顧客に提供できる。また、客先での商談で、モバイルデバイスを通じて専門家がビデオ会議で参加することも可能だ。
融資判断などの意思決定の迅速化にも使われている。「書面だけ、音声だけでは、担当者の意図は伝わりづらい。高画質のビデオ会議を使って、フェイス・トゥ・フェイスに近い会議を実現することで、より正確な投資判断を行いたいという話があった」
さらに、社内向け説明会をビデオ会議で実施するとともに、その録画を共有。参加できなかった社員も、あとで閲覧できるようにし、情報共有の促進と迅速化を図るといった活用法も挙げられるという。