昨年は25%の成長を遂げたというウォッチガード・テクノロジー・ジャパン。「今年は30%成長をなし遂げる」とした根岸正人社長が、そのための戦略を説明するのに用いたのは、IDCが提唱する「第3のプラットフォーム」というキーワードだ。
ウォッチガード・テクノロジー・ジャパン 社長執行役員 根岸正人氏
リサーチ会社のIDCは今、第3のプラットフォームの時代が始まっているとしている。メインフレームが中心の第1のプラットフォーム、PC中心の第2のプラットフォームの時代を経て、現在到来している第3のプラットフォームの時代を構成するのは、モビリティ、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドの4つの要素。
「従来セキュリティというと、1つの分野として独立してあったと思う。しかし今後は、セキュリティが前面に出るのではなく、この4つの要素にセキュリティがどんどん組み込まれていく。モビリティ、ソーシャル、ビッグデータ、クラウドの中で、いかにセキュリティを分かりやすく提供していくかが大きなテーマだ」と根岸氏は語った。
仮想アプライアンスに初期投資不要の料金モデル
具体的にはまずクラウド――マルチテナント型データセンターに焦点を当てるとして、仮想アプライアンスのデータセンター事業者やクラウドサービス事業者向けライセンス体系について紹介した。
ウォッチガードはUTMアプライアンス「WatchGuard XTMシリーズ」と同等の機能を有する仮想アプライアンス「XTMv」をラインナップしているが、従来は次の点が課題になることがあったという。
最近、IaaS/PaaSなどとあわせて、セキュリティ機能を仮想アプライアンスでサービスとして提供するサービスプロバイダーが増えている。ただ、サービスプロバイダーからすれば、こうしたサービスを提供するためには、顧客の獲得前に仮想アプライアンスへの初期投資を行う必要があった。このため、「一定数のお客様が付けば利益は出るが、『本当にお客様が集まるのか』となかなか踏み切れないサービスプロバイダーの方は少なくなかった」(根岸氏)という。
そこでウォッチガードは初期費用不要で、利用した分だけを月額料金として支払えばいいサービスプロバイダー向けライセンス体系を新たに用意。サービスプロバイダーのニーズに応えたという。
APT対策を4月以降に提供開始
モバイルも2014年の重点分野の1つだ。無線LAN搭載のUTM「WatchGuard XTM 25-W」や、無線LANアクセスポイント「WatchGuard AP200」のプロモーションに力を入れていく。根岸氏が特に強調したのは、ソフトウェアバージョンアップによって、XTMは無線LANコントローラー機能を実現できる点。XTMの既存ユーザーであれば、専用の無線コントローラー不要で、無線LAN環境を構築できるとした。
さらに根岸氏は、持続的標的型攻撃(APT:Advanced Persistent Threat)対策のためのサンドボックス機能も、2014年4月以降に発表予定であることを明らかにした。「APTについては先行するベンダーが数多くいるが、非常に高価。私どもは、リーズナブルな価格でAPT対策に参入する」と説明した。
ウォッチガードもいよいよAPT対策機能を提供開始する