[特集]リーディングカンパニーが語る2014年通信市場NECが語る“PBX/ビジネスホン市場”の成長の芽とは?

成熟市場であるPBX/ビジネスホン市場に成長の芽は見出し難い。国内トップ、世界3位のシェアを持つNECは、多様化するアプリやデバイス、業務システムとの連携を進め、企業コミュニケーションシステム全般へとビジネス領域を広げることで活路を拓こうとしている。NEC 企業ネットワーク事業部 事業部長の野田修氏に話を聞いた。


――2014年のPBX/ビジネスホン市場の規模と成長率をどう見ていますか。

野田 PBX/ビジネスホンともに、国内市場規模は400億円弱と考えられます。今後これが大きく伸びることはないでしょう。微増という楽観的な見方もありますが、通信キャリアのFMC等の影響もあり、減少傾向となってもおかしくありません。

当社の現状についてですが、大手・中堅市場は震災があった2011年以降、数%程度の小さな伸びです。中小市場は比較的好調で、実は二桁伸びています。中小に比べて大手市場がビハインド気味というのは、他社も同じような状況のようです。

大手のお客様は今、Windows XP、Windows 2000 Serverの置き換えなど、より緊急性の高い課題を抱えています。PBXの単なるリプレースは後回しになると睨んでいます。

ただし、成長している要素もあります。各種の業務アプリケーションとPBXとの連動でお客様のビジネスを伸ばすソリューションの導入は伸びています。例えば、コンタクトセンター用に使われている当社のPBXは、50億円超の規模に成長しました。期待できる領域は他にも、医療系ならナースコールや電子カルテとの連動、回転率を高める呼び出しシステム、ホテルのコンシェルジェサービス、スマートフォン連携など多くあります。

付加価値型を5割に伸ばす

――ビジネスを成長させる付加価値の高いものなら投資するという傾向が顕著になってきたようです。

野田 それは明確です。我々は「ジャストPBX」ではなく、業務効率化や収益向上に直結するアプリ、ソリューション提案に注力するしかありません。NECとしては、その割合を、2014年は2割程度まで伸ばし、数年先には5割以上を、そうした付加価値型の提案で取っていきたいと考えています。

国内経済全体が、これまでの「とにかく投資を減らせ」という状況から、「どうビジネスを伸ばしていくか」というマインドに変わりつつあります。地盤としては良い状態です。この追い風に乗るためにも、ビジネスを変えるときです。機器を提供するのではなく、お客様の欲しているものを見つけて提供していけるかが成長の鍵であり、そうでなければ「安いほうがいい」という選択をされるだけです。

――PBXとビジネスホンではどういう違いがありますか。

野田 大容量のPBXについては、そうした業務ソリューション型の提案が不可欠となり、11月に発売した新製品「UNIVERGE SV9500/SV9300」もその狙いから、ITシステムとの連携を強化しました。一方、ビジネスホン市場では、違った攻め方が求められます。

ビジネスホン市場は販売店が主体です。したがって、主装置の中に付加価値機能をいかに詰め込めるかが重要でしょう。「1つの箱にUC(ユニファイドコミュニケーション)が詰まっている」というかたちで商材を用意して売りやすくし、しかも、できるだけ簡単に使える機能にしなければなりません。

9月に発売した「UNIVERGE Aspire UX」には、Web会議やスマートデバイス連携をはじめ、多数のUC機能を内蔵しました。ほかには一切サーバー等も要らず、既存のPCやスマートデバイスを持ってくれば、Web会議も使え、プレゼンスも見られます。

UCやスマートデバイス連携をすぐに必要としないお客様でも、Aspire UXを入れておけばいつでもできますし、あるいは試しに使ってみてください、といった売り方でリプレースもできるわけです。“材料”はすでに用意していますから、販売パートナーの方々に、そうした機能を活かしていただけるよう促すとともに、機能そのものも拡充していきます。

月刊テレコミュニケーション2014年1月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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