MoIP化を一気通貫支援　放送局変革の頼れるパートナー

放送独自の要件や商慣習を踏まえると、MoIP化を着実に進めるには、放送とITの双方に精通したインテグレーターの存在が不可欠になる。「ネットワンは、要件定義（DAY0）、設計・構築（DAY1）、運用・監視（DAY2）までを一気通貫で支援する体制を整えています」と鈴木俊吾氏は語る。通信事業者や公共インフラを支えてきた経験がその土台になっている。

MoIP基盤の構築では、マルチキャストやPTP（Precision Time Protocol）といった、放送特有かつ高度な技術要件を満たす必要がある。これらは一般ITでも難易度が高い領域だが、ネットワンは大規模ネットワーク構築を通じて豊富な知見を有している。また、MoIP化とは、企業ITがオンプレミスからデータセンターへ移行してきた流れを放送分野に適用し、標準技術で構築できるようにすることでもあり、「マルチキャストやPTPといった要素以外については標準的なデータセンターの設計と同じです」と榎戸氏は説明する。

MoIP化の価値の1つに、伝送と制作の分離による放送業務の効率化がある。カメラやスイッチャーなどの放送設備とネットワーク基盤を別個に設計・調達できるようになると、マルチベンダー化が進んでコスト効率が高まるうえ、今後の技術革新にも対応しやすい柔軟なシステムが実現する。

この新しい調達モデルを初めて実現したのが、テレビ北海道（TVh）だ。

ネットワンはスタジオ設備ベンダー、マスター設備ベンダーらとの協業により、ネットワークインテグレーターとして基本設計を担う形でネットワークインフラを提供。TVh側の高い理解度と積極的な姿勢もあり、伝送インフラの分割受注を勝ち取った。
今後期待される放送局のMoIP設備への更新へも、積極的にこの経験を活かし提案していきたいと意気込む。現在はその設計の支援や、人材育成に関わり、放送業界から厚い信頼を得ている。

セキュリティも“ITと同じ”　NDR導入を進める

今後の大きな課題はセキュリティ対策だ。「放送局を狙う脅威は多く、啓蒙にも力を入れています」（榎戸氏）

メディア面（映像伝送）と制御面を分離し、映像品質を維持しつつ制御系を守る設計が必要だが（図表2）、制作現場は遅延に極めて敏感なため、従来型のファイアウォールを挟むことはできない。また放送機器は一般PCとは異なりエンドポイントセキュリティ（EDR）を適用できないものも多い。サブシステム単位で対策が分断されていることもリスクとなる。

図表2　MoIP放送システムの基本構造

ネットワンは、ネットワークの設計そのもので対処したり、認証・認可を強化したりするという処方箋を提案するが、なかでもNDR（Network Detection and Response）を軸に、ネットワークレイヤーで脅威を可視化・遮断するアプローチを重視している（図表3）。「MoIP化が進めば、企業ITと同じ対策をそのまま適用できます」と榎戸氏は語る。

図表3　放送システムの特徴とセキュリティ対策

高度なセキュリティは、番組制作でAI活用を進めるためにも不可欠だ。

放送が国民に信頼されるメディアであり続けるために、ネットワンの挑戦は続いていく。

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ネットワンシステムズ株式会社
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