New Relic、複雑化するAIシステムに対応する新機能 MCPサーバーも提供開始

AIエージェントやMCP(Model Context Protocol)サーバーの広がりは、さまざまな業界で業務効率化を後押ししている。一方で、エージェント同士や外部ツールが連携することでシステム構造は複雑化し、全体の把握はこれまで以上に難しくなっている。今回、オブザーバビリティプラットフォーム・New Relicに追加された新機能は、こうした課題に応えるものだ。

AIでオブザーバビリティを高機能化 原因特定をよりリアルタイム・迅速に

「オブザーバリティのためのAI」は、オブザーバビリティそのものをAIによって高度化するという観点だ。

「Outlier Ditection」は、大規模なサービス群の中から周囲と異なる挙動を示す“外れ”の個体をAIがリアルタイムに検知するものだ。スケールアウト構成を取るサーバー群のなかで、パフォーマンスが低下している1台を特定するというのが代表的な適用例だ。また、特定ユーザーからのアクセス集中を検知し不正アクセスを防いだり、特定の環境による不具合の発生を検知することも可能だそうだ。集団を平均値や中央値で観察していると発見が難しい“外れ”を能動的に検知することで、安定したパフォーマンスを維持する。

Outlier Detectionの説明図。サーバー群の中から外れた挙動を示す個体をリアルタイムに検知する様子と、CPUやエラー率の異常を示すグラフの例が表示されている。

「Outlier Ditection」で“外れ”を能動的に検知

スケールアウト環境で性能が低下している特定サーバーを見つけ出したり、特定ユーザーからの異常なアクセス集中を検知したりと、平均値・中央値ベースの監視では発見しづらい異常を早期に把握できる。特定環境に依存する不具合など、パターン化が難しい事象にも対応し、サービスの安定運用に寄与するという。

さらに、アラート発生時に関連するログを自動で解析する「AI Log Alerts Summarization」も追加した。従来はエンジニアがエラーログの前後を目視で追い、状況や原因を読み解いていたが、この工程を自動化することでログのコンテキスト把握が機能側で行われ、トラブルシューティングの初動を大幅に効率化できるということだ。

AI Log Alerts Summarizationの説明図。アラート周辺の大量ログをAIが自動分析し、異常原因を要約して提示するインターフェース例と、解析結果が表示された画面が示されている。

「AI Log Alerts Summarization」がログを自動解析

障害発生時の調査時間が10分の1に KINTOテクノロジーズ

発表会では、トヨタ自動車グループの自動車サブスクリプションサービス「KINTO」のシステム開発を担うKINTOテクノロジーズが、New Relicの導入事例を紹介した。

同社では、New Relic MCP Serverを活用することにより、従来API連携を前提としていたNew Relicとの連携が大幅に簡素化。インフラ障害発生時の調査時間は従来の2〜30分から2〜3分へ短縮され、改善の振り返り作業も1時間から10分程度まで短縮できたという。

KINTOテクノロジーズにおけるNew Relic MCP Server活用事例の図。調査・対応・振り返りの各工程が簡素化され、普段使うツールに組み込むだけで大幅な調査時間削減と振り返りの質向上が得られることを示している。

KINTOテクノロジーズはNew Relic MCP Serverサーバーで障害発生時の調査を効率化

今回発表した新機能のうち、Agentic AI Monitoringは限定プレビュー、ほか3機能はパブリックプレビューとして提供されている。すべて標準ライセンスに含まれ、追加料金は不要だ。

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