Software-Defined Data Center(SDDC)というキーワードを最近よく耳にする。SDDCが目指すのはサーバー、ストレージ、ネットワークすべてが仮想化され、データセンターの制御をソフトウェアから自動で行える世界だ。先行して仮想化が進展したサーバーとストレージに続き、ネットワークでもSDN(Software-Defined Network)が登場したことで、SDDCは現実のものになろうとしている。
だが、米シスコシステムズ シニアバイスプレジデントのフランク・パロンボ氏は、こう指摘する。「物理的なワークロードはまだかなりあるし、メインフレームにもいまだ多くのアプリケーションが載っている。仮想環境だけでは駄目だ。物理的な環境も考える必要がある」
シスコシステムズは2013年11月19日、都内で記者会見を開催し、物理・仮想両方のネットワーク上のITリソースの可視化や統合型管理を実現できるという「アプリケーション セントリック インフラストラクチャ(ACI)」を発表した。
米国では11月6日にニューヨークで発表されたが、ふだん製品発表にはあまり関わらないというジョン・チェンバースCEO自身がプレゼンを行ったそうだ。それだけシスコにとって、ACIは重要な位置づけということである。
ACIの概要 |
ACIは、その名前の通り、アプリケーション中心のITインフラを実現するためのデータセンター向けソリューションである。「アプリケーションが何をしようとしているのか、ネットワークが理解できるようになる」とパロンボ氏は説明した。
従来であれば、アプリケーションの導入/設定変更などをする際には、QoSやセキュリティポリシー、ロードバランサーのプロビジョニング/設定作業など、様々な準備をインフラ側で手動で行う必要があった。「だが、顧客は、インフラで何が起こっているかは意識せずに、そうしたことを行いたいわけだ」(パロンボ氏)。
アプリケーションネットワークプロファイルの概要 |
ACIでは、「アプリケーションネットワークプロファイル」というプロファイルを利用することで、アプリケーションがどこに存在し、どのように変更されても、インフラのポリシーを動的にプロビジョニングできるようになるという。