アライドテレシスは2013年10月31日、プライベートクラウドの構築に必要なサーバー/ストレージ/ネットワークなどをパッケージ化して提供する垂直統合システム「EtherGRID」を発表した。
ソリューションエンジニアリング本部 本部長の合原義雄氏は、従来のプライベートクラウド構築について、「道路整備計画がない状態で街作りが行われたため交通量、つまりネットワークがスムーズに流れなくなくなっているケースが方々に見られる」と指摘。EtherGRIDについて、「ネットワークの視点からプライベートクラウドをデザインする」と紹介した。
EtherGRIDの概要 |
EtherGRIDは、様々なベンダーから提供されている垂直統合型システムと同様、接続検証済みのサーバー/ストレージ/ネットワークが1つのパッケージとして提供されるが、大きく2つのブロックから構成されている。
1つは、サーバー/ストレージ/ネットワークなどのITコンポーネントをパッケージ化した「EG-IPC(EtherGRID Infrastructure for Private Cloud)」だ。現状では、IBMのx86サーバーやCoraidのストレージなど、以下のベンダーの機器が検証済みとなっているという。UPSやKVMなどもオプションとして組み合わせられる。
EtherGRIDで検証済みのベンダー製品 |
ビジネスエンジニアリング本部 ソリューション支援部 部長の永野忍氏は、EtherGRIDは「ベンダーニュートラルなコンバージドシステムだ」と説明したうえで、競合他社の多くのソリューションと違って、ベンダーロックインを回避できるとした。ネットワークはもちろんアライドテレシス製で、SDNの思想をベースにしたという同社のネットワーク仮想化ソリューション「u-VCF」をサポートした1GbEまたは10GbEスイッチが支える。
EG-IPCは、さらにIaaS構築用の「Platform」とSaaS構築用の「Service」の2タイプに分かれており、ServiceではVDIやIP映像監視システム、バックアップ/DRなどに必要なアプリケーションまで含めてパッケージ提供される。
EG-IPCのラインナップ |
このITブロックに加えて、ファシリティも一体提供可能だ。密閉型のラックに空調ユニットを一体化した1ラックタイプから、コンテナ型データセンターまでのファシリティを用意する。ラックは24/33/42Uの3タイプ、コンテナ型データセンターは4~5ラックと8~10ラックを揃えている。
ファシリティもパッケージ提供。オプションで消火装置や監視装置なども付けられる |
特に中堅・中小企業マーケットで高いプレゼンスを持つアライドテレシス。合原氏は、「多くの企業、自治体、学校、病院などは、大規模なデータセンター事業者と違って、専門のネットワーク担当者がいない」としたうえで、「運用・導入のし易さ」もEtherGRIDの特徴として挙げた。さらにグローバルに提供できる点も強調。
中堅・中小企業でも容易にプライベートクラウドを構築できる垂直統合システムとして、EtherGRIDは2014年第1四半期から順次、販売開始される予定だ。