パナソニックが掲げる放送・映像事業の2本柱 報道局の制作現場を“フルクラウド化”

パナソニックが放送・映像事業を“2本柱”で強化する。フルクラウド化による新たな映像制作モデルの構築と、各種カメラ製品をはじめとするハードウェア製品のアップデートを通じ、「業務効率化と映像クオリティ向上を両立させていく」という。

“フルクラウド化”でローカル局の人手不足解消を目指す

1つめが、フルクラウド化による新たな映像制作モデルの構築・提案だ。その第一弾として、番組制作・配信を行う報道サブ(副調整室)のフルクラウド化に取り組む。なかでも、「人手不足が深刻なローカル局がメインターゲット」(梶井氏)だ。

従来はスタジオなどの限られた場所に専用設備を設置し、スタッフが現地に集まって作業を行っていたが、フルクラウド化により、場所にとらわれず、少人数で効率的に番組制作を進められるようになるという。

また、災害などで現地スタッフが業務できない場合でも、他局や他拠点のスタッフがクラウド経由で代替作業を行えるほか、オンデマンド配信や字幕表示などの省人化にも寄与できるとした。

フルクラウド化のメリット

フルクラウド化のメリット

来月開催される映像・放送業界向けソリューションの展示会「Inter BEE 2025」では、ニュース制作をフルクラウド化するデモを実施する予定だ。

具体的には、東京2025デフリンピックの競技会場に設置したカメラが撮影した映像データを、KDDIのネットワークスライシングソリューションを活用してクラウドに伝送。あわせて、パナソニック コネクトブースに設置したニューススタジオと手話スタジオの映像もクラウドに集約し、メインステージで字幕付きのライブ配信を行う。

また、ワンタッチで映像や字幕などを正確なタイミングで送出できる映像・音声の自動制御システム「OTC」(One Touch Controller)の実演を行うほか、「ニュース素材をクラウド上の『自動配信システム』に入れ、ニュースを項目単位で切り出して自動的にオンデマンド配信サービスにアップロードする」デモなども実施すると梶井氏は話した。

Inter BEE 2025では、ニュース制作のデモを実演

“強い”ハードウェアとソフトウェアを開発

2つめとして、「IP化・自動化・映像表現手法の拡充を実現する製品開発に取り組む」(パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション イメージングソリューション事業部次長 プロフェッショナルAV事業統括の谷口昌利氏)。

具体的には、オートフォーカス機能を搭載した4Kスタジオカメラ「AK-UCX100」を今年12月に、取り回しに優れたボックススタイル4Kマルチパーパスカメラ「AK-UBX100」を2025年第3四半期(3Q)に提供する計画だ。

(左から)4Kスタジオカメラ「AK-UCX100」、ボックススタイル4Kマルチパーパスカメラ「AK-UBX100」

そのほか、プリセット(あらかじめ登録したカメラの位置やズームなどの設定)を決められた順番(シーケンス)で自動的に呼び出せるリモートカメラコントローラー「AW-RP200GJ」や、画質調整をPCやタブレットから遠隔操作できるソフトウェアプラグイン「Image Adjust Proプラグイン」なども今年度中に発売予定で、「強いハードウェアとソフトウェアの開発で、映像制作の可能性を拡張していきたい」と谷口氏は意気込んだ。

リモートカメラコントローラー「AW-RP200GJ」

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