「ポイントはBYODにこだわり過ぎないこと」
相談すべき相手は、常にリアルなオフィスで見つけられるわけではない。バーチャル空間上で必要な知識を持った専門家を探せるKnow Whoシステムのデモも行われた。石原氏が「おもてなし」とWeb電話帳にキーワードを入力すると、このキーワードにマッチした専門家が表示され、ワンタッチでコミュニケーションが開始された。
石原氏によれば、コミュニケーション環境を改善していくには、以下の4つの要素に分解して分析するといいそうだ。人と人とを結びつける「Connect」、効果的・効率的な情報伝達の「Communicate」、内部・外部との協業・協調の「Collaborate」、情報共有/学習の「Learn」の4つだ。Know Whoシステムは、このうちConnectを向上させるものである。
ユニファイド ワークスペースを実現するにあたっては、スマートデバイスが重要な役割を果たすが、スマートデバイスを用いたデモも数多く披露された。まずは「スマホのシンクライアント化」。シスコのソリューションなら、メールや電話帳、スケジュールなどの情報をデバイス内に残さず、セキュアにコラボレーションが行える。
また、コールバック発信の仕組みを使い、スマートフォンから会社の0AB~J番号で発信することも可能。この機能を使えば、スマートフォンの番号は相手に表示されず、また通話代も会社持ちになるので、BYODにも有用だ。
BYODといえば、IT管理者にとっては頭痛の種でもあるが、運用を劇的に楽にするソリューションも紹介された。「かんたんBYOD設定」である。これは、エンドユーザーである従業員が、セルフサービスでBYODの申請から設定までを行うための仕組み。自分のスマートフォンの携帯キャリア、チャットやWeb会議など利用するサービス、電話番号等をWeb画面上で設定していけば、BYODを開始できる。
かんたんBYOD設定の設定デモの様子 |
なお、BYODに関して石原氏は、「ポイントはBYODにこだわり過ぎないこと」ともアドバイスした。例えばシスコの場合、営業担当など外出の多い「ランナー」と呼ばれる働き方の社員にはBYODではなく、会社がスマートフォンを貸与している。その一方、ランナーにはオフィスに固定席や固定IPフォンはなく、席はフリーアドレスだ。
また、総務や経理など自席で働くことが多い「シッター」については、電話端末はビデオフォンを用意するが、モバイルは個人スマートフォン。このように、業務タイプごとにワークスタイルを定義し、最適な業務環境を提供することが大切だという。
ランナーやシッターなど、その人のワークスタイルに応じた環境構築が大切 |
「ワークスタイル変革とPBX入替は一切関係ない」
今後、新しい働き方は加速度的に広まっていくと予想されるが、多くの企業にとって問題なのは「いつワークスタイル変革に向けて自社の舵を切るか」だろう。石原氏によると、「PBX入れ替えのタイミングで、働き方を変えたい」というのがよくあるパターンだという。
しかし石原氏は、「ワークスタイル変革とPBXの入れ替えに関係はない」ときっぱり言う。「電話はコミュニケーション手段の1つに過ぎず、ワークスタイル変革の際に意識する必要は一切ない」
まずは、人を検索するためのKnow Whoシステムやチャット、Web会議などを導入。電話についてはPBX入れ替えのタイミングで後から統合していけばいい。
つまり、ワークスタイル変革を実行に移すタイミングは、まさに“今”――。シスコでは、ユニファイド ワークスペースを数十万円から導入できる「ライトプラン」も用意しており、今すぐにワークスタイル変革を実行に移せるとアピールした。
ユニファイド ワークスペースのライトプラン。既設のPBXをそのまま使いながら、ワークスタイル変革を始められる |