ICTはあくまでツール。重要なのは組織能力
このようにLyncの特徴を紹介する小国氏だが、一方でICTはあくまでツールに過ぎないとも強調した。「重要なのは、必要なときに必要な人と会話を交わし、知識をより向上させていくこと。組織能力をどう上げていくかという観点でコミュニケーション改革について考えると、ワークスタイル変革はうまくいく」という。
こうした考えに共鳴してLyncを導入した企業も増えてきているそうだ。例えば、通販のアスクル。PBX撤廃によるコスト削減、BCP対策といった狙いからプロジェクトはスタートしたが、「社内のワイガヤ(社員が集まってワイワイガヤガヤと話をすること)文化を重視したい」というCEOの言葉を受け、地方拠点など離れた場所にいる従業員とのワイガヤを実現するコミュニケーション基盤としてもLyncが位置づけられた。
また、化学メーカーのカネカでは、「Change」「Challenge」「Create」の3C活動を推進していくための基盤の1つにLyncがなっているという。
中小企業でもLyncをツールとした使ったワークスタイル変革は進んでいる。小国氏がその一例として紹介したのはソフトウェア開発のダンクソフトだ。「ヨーロッパの人は非常に長い休暇を取るが、GDPは高いまま維持されている。なぜだろう」。そう疑問に思ったダンクソフトの星野社長が考えた末に行き着いた結論が、「ICTでうまく合理化し、ワークスタイル変革を実現できているからだ」というものだった。
マイクロソフトのこれからのコミュニケーション戦略とは?
小国氏は最後に、マイクロソフトの今後のコミュニケーション戦略についても触れた。同氏によると、マイクロソフトは今年初め、「リビングルームから会議室まで」というコミュニケーション戦略を発表したという。
マイクロソフトのコミュニケーション戦略「リビングルームから会議室まで」 |
「すでにLync同士では、フェデレーションという形でLyncを導入している企業間でプレゼンスやIM、オンライン会議などが可能になっているが、さらにSkypeともつなげていく。Skypeのアカウントがあれば、ログを取ってセキュリティを担保しながら、企業の中とSkypeでつながっていける」
さらにこれだけではなく、「今年から来年にかけて、いろいろなコミュニケーションをデザインしていくので、楽しみにしていただきたい」と小国氏。「マイクロソフトはコミュニケーションの将来を描き、そこに向けて投資し続けていく」と宣言して講演を終えた。