業務用無線をリプレース――携帯キャリアが狙う200万台市場

車載用トランシーバ市場に携帯電話キャリアが相次いで参入している。3G回線の基地局を使うことで新たな設備の構築が不要という便利さから、商用車以外の業種にも広がりが期待できる。

タクシーの配車やバス・トラックの運行管理などに欠かせない車載用トランシーバ。携帯電話キャリア各社が今、この市場の開拓に乗り出している。

ソフトバンクは今年2月、業務用車載ソリューション「IP無線機SoftBank 201SJ」の提供を開始した。西菱電機製の車載無線機「201SJ」を使い、ソフトバンクモバイルの3Gネットワークのエリアで通信や音声通話、車両一斉呼び出し、トラッキングなどが行える。オプション契約でGPSを使ったASP型の位置情報サービスも提供し、配車や運行、業務支援機能にも対応する。

IP無線機 SoftBank 201SJ
「IP無線機 SoftBank 201SJ」はネットワークから端末までソフトバンクブランドを前面に打ち出している

NTTドコモは全国のFOMAエリアおよびFOMAプラスエリアで音声通話やデータ通信が利用できる「車載型パケット対応トランシーバサービス(仮称)」を今年9月から提供開始する予定だ。対応機種として富士通テン製とモバイルクリエイト製の2機種を採用。ソフトバンク同様に簡易な位置情報表示サービスをオプションで提供する。

富士通テン製の端末はより堅牢な作りが特徴 モバイルクリエイト製の端末はテンキーを搭載する
富士通テン製の端末はより堅牢な作りが特徴 モバイルクリエイト製の端末はテンキーを搭載する

いずれの機種も従来の車載用トランシーバの形状をそのまま引き継いでおり、本体のボタンを押して交互に発話する使用方法も同じだ(図表1)。

図表1 車載型トランシーバサービスの利用イメージ
車載型トランシーバサービスの利用イメージ

携帯電話は道路交通法により運転中に使用することは禁止されており、もし見つかれば罰せられるが、トランシーバは3G回線を利用しても車載機としての扱いとなるため、運転中でも使うことができる。これは車載型トランシーバの利用者にとって、大変魅力的なものとなる。

月刊テレコミュニケーション2013年8月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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