旧態依然としている企業のICT。それを変革するのにいま必要なのは“グローバルなクラウド”だ――。
ソフトバンクが7月23日、24日に開催したプライベートイベント「Softbank World 2013」。ソフトバンクテレコム代表取締役副社長兼COOの宮内謙氏は24日に行われた基調講演で、そうメッセージを発した。同社は前日の23日に、エンタープライズ向けの新たなクラウド基盤として「グローバルクラウドファブリック」を発表。宮内氏は、その特徴と合わせて、クラウドを活用したワークスタイルと企業システムの変革について説明した。
ソフトバンクテレコム代表取締役副社長兼COOの宮内謙氏 |
ソフトバンクが新たに提供を始めた「グローバルクラウドファブリック」は、VCEの垂直統合型アプライアンス「VCE Vblock System」(以下、Vblock)を採用している。サーバー、ストレージからネットワークまでデータセンター(DC)の構成要素すべての仮想化に対応しており、仮想データセンターを迅速に展開できるのが特徴だ。
宮内氏はここ数年のICT環境の変化について「UI(ユーザーインターフェース)としてのデバイスが急速に進化し、アプリもクラウドに変わった。いま、インフラの仮想化が求められており、それに対応できる仮想化サービスを先進的な(技術を持つ)パートナーとともに展開していく」と話した。Vblockにより構築するグローバルクラウドファブリックでは、リソースの拡張や設定変更などを物理的制約を受けずに迅速に展開が可能になるという。加えて、ユーザーは「世界中のシステムを統一運用できるようになる」と説明。ユーザー企業が自社のIT資産を一元管理できるカスタマーポータル機能も提供する。これらのサービス内容や品質を実際に体感できる「ソフトバンク カスタマー ブリーフィング センター」を、東京港区の本社ビル内に開設する(8月初旬予定)。
グーグル、ヴイエムウェア、VCE、シスコシステムズ等のパートナーとともに新クラウド基盤「グローバルクラウドファブリック」を構築する |
また、クラウドサービスを活用したワークスタイル変革については、ソフトバンク社内の実践例を複数紹介した。「クラウドの利点は、仕事をコラボレーティブにできるようになること」と語る宮内氏が挙げたのは、Google Appsを使った朝礼や、資料共有、承認作業、交通費精算の効率化などだ。同社内では、朝礼の代わりに経営トップのメッセージを社員に動画で配信したり、資料を展開してレスポンスを回収するプロセスをGoogle Appsで迅速化するといった取り組みによって業務効率化を図っているという。「我々は、社内で徹底的に使いこなし、効果を実証したものをお客様に提供している」とし、クラウドを活用したワークスタイル変革提案に今後も注力していくと話した。