米アバイアが昨年6月に買収を完了したRadvision(ラドビジョン)。一般的には、テレビ会議の多地点接続装置(MCU)やテレビ会議端末などの企業向け製品で知られていると思うが、もう1つの大きな柱がプロトコルスタックや開発フレームワーク、テストソリューションなどのビジネスを行う「テクノロジービジネス事業部門」(以下、TBU)だ。他のベンダーや通信キャリアなど向けに、ビデオやVoIPを活用した製品・サービス開発に必要なソリューションを提供するのがTBUのビジネスだ。
以下のスライドにあるのはTBUの顧客企業だが、ビデオ会議市場ではライバル関係にあるベンダーの名前も見付けられる。ビデオやVoIPを活用した様々な製品・サービスの“裏方”としても活躍しているのがラドビジョンなのである。
TBUの主な顧客企業 |
そのTBUが今、特に注力している2つの製品がある。VoLTE(Voice over LTE)対応の品質測定ソリューション「ProLab RCS/IMS/VoLTE」と次世代ビデオクライアント開発ツール「BEEHD」だ。
VoLTEの音声品質を担保するためのテストソリューション
世界中で商用サービスが始まっているLTEは、オールIPのモバイル通信方式だ。このためLTE上で音声通話を実現するにはVoLTE、すなわち回線交換ではなくVoIPで提供する必要がある。
国内の携帯電話キャリアは現在のところ、音声通話の場合は3Gに切り替える「CSFB(回線交換フォールバック)」という方法を採っているが、海外では米メトロPCSや韓国のSKテレコムなど、すでにVoLTEでの音声サービス提供を開始しているキャリアもある。国内キャリアにしても、遠からぬ将来にVoLTEを導入する計画だ。
ただ、キャリアや端末メーカーなどにとっては、VoLTEを商用展開するうえで気掛かりな点もある。それは品質――。音声やビデオといったリアルタイムコミュニケーションについていえば、安定した品質を実現するのは回線交換網よりも課題が多い。
ProLab RCS/IMS/VoLTEは、VoLTE環境での品質をテストできるツールだ。「端末メーカーやキャリアは、VoLTEの音声品質を数値的に評価・分析できるツールを求めているが、ProLabならパケットロスや遅延などを測定し、どこに問題があるのかまで分析できる」と日本アバイア ビデオ事業本部 TBU営業統括部長の加藤昭彦氏は説明する。
ProLabによる音声品質測定の全体フロー |
また、音声だけではなく、ビデオの品質を測定・管理することも可能。オリジナルと実際に流れた音声・映像を比較しながら、パケットロスや遅延などの状況を把握することもできるという。
加藤氏によれば、アンリツの基地局シミュレータと連携できる点もProLabの特徴の1つだ。「基地局シミュレータはIPから下のレイヤをシミュレートするソリューションだが、ProLabと組み合わせることで、アプリケーションレイヤまでオールインワンで測定・分析できるようになる」