分散型DCに欠かせない「MT1040A」 バーチャルテスタ開発にも注力
分散型データセンターを実運用するには、地理的に離れた複数の拠点をあたかも1つのデータセンターのように扱えるネットワークが必要となる。そのためには、通信の遅延や品質を精緻に測定し、管理できることが欠かせない。このニーズに応えるのが、ネットワークテスタ「MT1040A」だ。
ネットワークテスタ「ネットワークマスタ プロ MT1040A」
MT1040Aは、400Gイーサネットをはじめ、多様な通信規格に1台で対応可能。FEC(前方誤り訂正)解析機能も備え、物理層からネットワーク層まで通信品質を包括的に確認できる。
特筆すべきは、400G-ZRやOpen ZR+などのデジタルコヒーレント伝送技術に対応し、IPと光の両レイヤーで測定可能な点だ。従来はトランスポンダーのメーカーが主な利用者だったが、トランスポンダー不要でルーターに直接実装可能な400G-ZR/Open ZR+トランシーバーの普及によりコヒーレント信号を扱う装置ベンダーやROADMネットワークを構築するユーザーにも利用が広がっている(図表1)。
図表1 400Gデジタルコヒーレント通信 回線品質評価
400G-ZR/Open ZR+トランシーバーを用いることで装置数の削減や消費電力の低減を実現する一方で、これまで通信キャリア側に委ねられていた回線品質の評価を、キャリア回線を扱うユーザー自身が行わざるを得ないという課題も浮上している。
QSFP-DDをサポートするMT1040Aは400G-ZR/Open ZR+対応のトランシーバーを直接接続し、エンドツーエンドで通信品質を測定できるため、ここで重要な役割を果たす。
同部 課長の薄葉光弘氏はこう語る。「マルチベンダー対応が進む400G-ZRの導入を検討する企業が増えていますが、運用に不安を覚える声もあります。当社では、お客様の拠点にMT1040Aを持参して遅延やスループットの測定を実施し、運用立ち上げをサポートしています」
MT1040Aを使用して400G-ZRの回線品質を測定した例を図表2に示す。ダークファイバーを用いた ROADMネットワークの両端にMT1040Aを接続。その結果、一時的な受信パワーの低下によるリンクダウンや、リンクリカバリにかかった時間、受信光なし状態での検出状況などが詳細に観測された。さらに、SOP ROC(偏波状態の変動)など、通常のBER測定では見えない品質変動も捉えている。
図表2 OIF 400G-ZR 回線側品質モニタ例
アンリツはさらに、5G MECやクラウドネイティブ環境に向けて、バーチャルテスタの開発にも取り組んでいる。データセンター内や、自動運転車両の遠隔操作など物理テスタの設置が困難な環境でも、サーバー側に仮想化されたソフトウェアテスタを配置し、エンドツーエンドでのレイテンシーやスループットを測定可能にする。「MECの低遅延を活かすには、その性能を測定・保証する技術が重要です」(薄葉氏)
企画から開発、生産、サポートまでを国内で完結させる体制も、アンリツの強みだ。高度化・複雑化する次世代ネットワークの構築と運用において、アンリツはこれ以上ないパートナーとなる。
アンリツのデータセンターソリューション
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