ジュニパーネットワークスは2012年11月7日、金融業界に求められるネットワーク技術の最新動向に関する記者説明会を開催した。
スピーカーを務めたのは、米ジュニパー本社のバイスプレジデントで、金融サービス担当チームのチーフアーキテクトであるアンドリュー・バック氏。同氏はジュニパーに今年入社する前は、ニューヨーク証券取引所のネットワークサービスのグローバル責任者だった。金融業界に求められるネットワークを語るのに、これほどふさわしい人物はないというわけだ。
バック氏がまず紹介したのは、株式の総取引件数と取引平均額の推移を示したグラフだ。2000年から2009年の間に、取引件数は約7倍に急拡大した一方、1回の取引平均額は約40ドルから10ドル前後へと大幅に下がっている。以前と比べると、小さな取引を、しかし非常に頻繁に行うようになっているということだ。
株式の総取引件数の推移(クリックで拡大) | 取引平均額の推移(クリックで拡大) |
こうした変化は当然、ネットワークにも多大な影響を及ぼしている。1つはネットワークの広帯域化。もう1つは、低遅延に対するあくなき要求である。市況データからマーケットの変化をいかに素早く捉え、迅速に取引を成立させられるかが、現代では証券会社やトレーダーにとってきわめて重要になっているからだ。
「かつては数秒以内、あるいは一定のミリセカンド以内に通信できればよかったのが、現在ではマイクロセカンド単位でないと証券取引所は競争力を維持できない」(バック氏)
QFabricで超低遅延のデータセンターを実現
では、金融業界のあるべきネットワークの姿とはどのようなものか。これを説明するため、バック氏は通信事業者のネットワークとの違いについて以下のスライドを使って解説した。
そのうえで、データセンターで使うストレージのフルサポートや、翌朝にも帯域幅を大幅に拡張できるようなオンデマンド性、超低遅延・超低揺らぎ(ジッター)などの要件を挙げた。
そして、こうした要件を満たすための具体策として、従来の3層構造からなるデータセンターネットワークを2階層、さらには1階層に減らすことを提言。「革新的なアーキテクチャであるQFabricを使えば、1階層のデータセンターを作ることができる」と、ジュニパーのファブリックソリューションであるQFabricをアピールした。