NECの光トランスポート事業は「オール光化」「オープン化」の2軸で推進

データセンター間接続の旺盛な需要を背景に拡大が続く光トランスポート市場。NTTと共同開発するIOWN関連技術を武器に同市場でのシェア拡大を狙うNECが2024年11月29日、光トランスポート事業の戦略を発表した。攻め口は「オール光化」と「オープン化」の2つ。ホワイトボックス型トランスポンダーとエッジDC向けROADMの開発に注力する。

4つのオープン化/標準化コミュニティに参画

光オープン化に関してNECが参画する標準化コミュニティは次の4つだ。Open ROADM MSA、Telecom Infra Project(TIP)、Optical Internetworking Forum(OIF)、そしてIOWN GFである。

NECが参画している光オープン化/標準化コミュニティ

NECが参画している光オープン化/標準化コミュニティ

Open ROADMは主に光伝送システムの相互接続を、TIPは機能分離を推進する団体で、IOWN GFは前述の通り、APNのオープン仕様を定義する。OIFはこのうち最も古くから存在し、光技術の標準化や相互接続の実証を行っている。

これらのオープン標準に準拠した光伝送製品として、NECは、光信号の分岐・挿入や光パス(経路)の管理等を行うROADMと、電気信号と光信号の変換および光の送受信を行うトランスポンダーを展開。IOWN GFのAPN仕様に準拠した製品として2022年に発売したSpectralWave WXシリーズ(参考記事)をベースにポートフォリオを充実させる。

光伝送製品のポートフォリオ

オープン化仕様のポートフォリオ

WXシリーズの特徴は、上図表のように機能ごとに分離された「ディスアグリ・ボックス」を揃えているため、必要な機能を選択的に組み合わせて導入できることだ。Open ROADMやTIP仕様に準拠することで、他ベンダーの製品とも組み合わせて光トランスポートネットワークを構築・運用できる。

ホワイトボックスとエッジDC向けROADMを拡充

今後の製品開発については、(1)ホワイトボックス型トランスポンダーと、(2)エッジDC向けROADMの2つに注力する。

ホワイトボックスとは、ネットワークOSと分離したハードウェアのことだ。NECは、Wistron社製のホワイトボックスとNEC製のネットワークOS(NOS)を組み合わせたトランスポンダーをリリースしているが、今回、新たにEdgecore NetworksとPegatronの2社のホワイトボックスをラインナップに追加した。いずれも共通のNEC製NOSを搭載可能で「2024年度内に製品化する」(佐藤氏)。

ホワイトボックス型トランスポンダー

ホワイトボックス型トランスポンダーの概要

ラインナップが増えることで「調達先が安定する。サプライチェーンリスクを回避できる」のだ第一の利点。加えて、NECのROADM「DW7000」を導入している顧客に対しては、ホワイトボックス型トランスポンダーを導入すると「オペレーションを共通化できる」点も訴求ポイントとなる。

(2)エッジDC向けROADMは、大規模DCや通信局舎などで導入・運用されているROADMを「小型・省電力・経済化」した製品だ。ROADMは多彩な機能を搭載している高価な装置だが、これを「エッジDCに特化させて機能を絞り込む」と佐藤氏。機器の設置スペースや供給電力に制約があるエッジDCのニーズに合わせたシステムを開発する。

エッジDC向けROADMの開発

エッジDC向けROADMの開発

これに加えて、光ネットワークの運用人員が不足している実情を踏まえて、オペレーションの高度化にも取り組む。運用自動化や故障予兆の検知、可視化技術などにも磨きをかけ、間もなく到来するデータセンター分散化時代に備える。

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