ITと人材の分散化で、ますますWANが重要に
現在はデータセンターの近くにいる本社従業員などにとっても、WAN高速化装置の必要性は今後いっそう高まっていく。なぜならITシステムの“分散化”が現在進行中だからだ。これが、WAN高速化装置に注目すべき3つめの理由である。
企業にとって、WAN高速化装置の必要性が一気に高まったのはまず数年前。サーバー統合のトレンドがきっかけである。拠点毎に設置していたITシステムを、1カ所に統合することで合理化を図る動きが本格化したことで、WANのトラフィックが急増した。
そして現在ではさらに、Amazon Web Services(AWS)などのIaaS、Office 365やSalesforce.comのようなSaaSをあわせて活用する動きが本格化している。
「1箇所のデータセンター×n拠点というWANの構成から、n箇所のデータセンター×n拠点というマルチクラウドを使う時代に変わってきている」(リバーベッドの伊藤氏)。自社で利用するクラウドサービスの中には、本社から離れた場所にデータセンターが置かれているケースもあるだろう。
また、IaaSやSaaSのようなパブリックなクラウドサービスにおいて、そのパフォーマンスをどう担保していくかという新たな課題にも企業は直面している。
この課題に対して、リバーベッドでは2つの解決策を用意している。1つは「Cloud Steelhead」。AWSなどのIaaSに対応したWAN高速化ソリューションだ。これはVMwareベースの仮想マシン上で動作する仮想アプライアンスで、ハードウェア版のSteelheadと同様にWANを高速化できる。
もう1つは大手CDNプロバイダーのアカマイ・テクノロジーズとの共同ソリューションである「Steelhead Cloud Accelerator」だ。インターネット越しに利用するSaaSについても高速化できる。その仕組みだが、SaaSプロバイダーのデータセンターに最も近い場所にあるアカマイのサーバー上にCloud Steelheadを設置。さらに、アカマイのインターネット経路最適化技術も活用することで、SaaSの高速化を可能にしている。
図表2 SaaSを高速化する「Steelhead Cloud Accelerator」の概要 |
(出典:リバーベッドテクノロジー) |
現時点で対応しているSaaSは、Office 365、Google Apps、Salesforce.comの3つ。Office 365でのテストでは、PowerPointのダウンロードが52倍に高速化できたという。
図表3 Office 365でのテスト結果 |
(出典:リバーベッドテクノロジー) |
グローバル化やクラウド化によって、人材とITシステムがますます分散化していく時代、ビジネススピードはさらにWANのパフォーマンスに依存するようになる。この分散化時代において、ビジネススピードを効果的に向上させられる“必需品”がWAN高速化装置なのである。
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