トップベンダーに聞いた!WAN高速化装置にいま注目すべき3つの理由[前編]――ブロードバンド大国、日本の意外な落とし穴

ビジネスを取り巻く環境が激しく変化するなか、企業に最も求められているのが「スピード」だ。ところが、経営スピードの向上を支える基盤であるWANは、様々な課題に直面している。WANの高速化がますます必要になっている理由を、WAN高速化装置のトップベンダーであるリバーベッドテクノロジーに聞いた。


(2)TCPの最適化

2つめのWAN高速化技術は、TCPの最適化だ。多くのアプリケーションに利用されているTCPは、確実にデータをやりとりするため、一定サイズのデータを送るたびに、データがちゃんと届いたかどうかの確認作業を行う。つまり、受信の確認が届かないと次のデータを送信できない。

このデータ送信から受信確認までの一連のやりとりに必要な時間のことは、一般的に「RTT(Round Trip Time:往復遅延時間)」と呼ばれている。また、確認なしに1回に送信できるデータのサイズのことは「ウィンドウサイズ」という。

図表4 TCPのデータ送受信の手順
TCPのデータ送受信の手順

WANの帯域を広げても期待通りにパフォーマンスが改善されないのは、伝送距離が長くなるほどデータを送信していない“待ち時間”が増幅するからである。

そこでWAN高速化装置には、TCPをWANでの利用に最適化する工夫が盛り込まれている。Steelheadの場合、まずウィンドウサイズの拡張を行う。ウィンドウサイズを100KB超に拡張することで、1回の受信確認により送信できるデータ量を増やすのだ。その結果、応答確認のやり取り回数、つまり待ち時間そのものを削減できる。

もう1つはリファレンスの利用である。リファレンスとは、受信側でデータを再構成するための設計図のこと。データの重複排除のおかげで、WAN高速化装置を導入するとすべてのデータをWANを介して送る必要はなく、新しいデータだけで済む。そのため、その新しいデータだけを1つのパケットにまとめてリパックするとともに、受信側でキャッシュされたデータと合体して再構成するためのリファレンスを送信する。

図表5 TCPの最適化の仕組み
TCPの最適化の仕組み
(出典:リバーベッドテクノロジー)

このウィンドウサイズの拡張とリファレンスの利用によって、「1パケットを受け取っただけで、数MBになることもある」と寺前氏は説明する。

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(提供:リバーベッドテクノロジー)

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