スペシャルゲストとして登場したソフトバンクグループ 会長兼社長の孫正義氏を笑顔で迎える、エヌビディア CEOのジェンスン・フアン氏。ソフトバンクグループはかつてエヌビディアの大株主で、両氏は旧知の間柄だ
「エヌビディアはシミュレーションテクノロジーの会社だ。物理、仮想世界、知性のシミュレーションを通じて、未来を予測するお手伝いをしている。つまり、エヌビディアはタイムマシンを作っているのだ」
2024年11月13日、エヌビディアは「NVIDIA AI Summit Japan」を開催。ジェンスン・フアンCEOは講演の冒頭で、そう話した。未来を予測し、GPUやソフトウェア、エコシステムの提供などによって、その実現をサポートしていくのが、エヌビディアの役割というわけだ。
では、エヌビディアは、AIの未来をどうシミュレーションしているのか。「我々はAIについて様々な形で話しているが、私は大変ポジティブな2つのタイプのAIがあると思っている」とフアン氏は切り出した。
デジタル従業員が「50%」の仕事をこなす
1つめのタイプは、AIエージェントである。「本質的には、デジタル従業員のようなものだ。そして、従業員と同じように、あなたの会社へ迎え入れ、訓練・教育するためのデータを作成しなければならない」
AIエージェントはマーケティングキャンペーンも実行できるし、サプライチェーンを最適化して何億ものコストを削減することもできるし、ソフトウェアの脆弱性のトリアージにかかる時間を数日から数秒に短縮することもできるが、フアン氏はこうも強調した。
「どのAIエージェントも100%の仕事はできない。AIエージェントが50%の仕事をこなしてくれるということが、大きな成果だ。AIが50%の人々の仕事を代替するのではなく、AIが100%の人々のために50%の仕事をすると考えるべきだ」
AIに関する最も多い議論の1つに「AIは人間の仕事を奪うのか?」というものがあるが、フアン氏の答えは次の通りである。
「AIがあなたの仕事を奪うことはない。AIを使う他の誰かが、あなたの仕事を奪うのだ。できる限り早く、AIを使おう」