台湾・台北市をメイン会場に開催された日台APNのオープニングセレモニーの様子。過去最大級と懸念される台風10号で想定される災害対策のため、当初の予定を変更してAPNを活用しての日本のサテライト会場からのリモート参加になったNTTの島田社長は、「台湾で一緒に喜ぶことができず残念」としたうえで、「一方でAPNの良さを伝えられるチャンスになった」と語った(写真提供:中華電信)
NTTと台湾の大手通信事業者である中華電信は2024年8月29日、世界初の国際間IOWN APN(オールフォトニクス・ネットワーク)の開通を発表した。
オープニングセレモニーは台湾会場と日本会場をAPNで接続して行われ、NTT 代表取締役社長の島田明氏は「NTTと中華電信との取り組みの実績によって、他の様々な国でのIOWNの展開も進めていきたい」、中華電信 会長の郭水義氏は「引き続きNTTと密に協力し、IOWNの革新的技術を開発しながら国際間IOWN APNの様々なユースケースを実現し、世界へ普及させて豊かな社会に貢献することを目指す」と述べた。
日本と台湾の距離は約3000kmある。NTTは同社の武蔵野研究開発センタから日本国内の海底光ファイバー陸揚げ局まで、中華電信はそこから台湾の陸揚げ局、桃園市のデータセンターまでのAPNを100Gbpsの光パスで構築した。IOWN Global ForumのOAA(Open All-Photonic Network Functional Architecture)に対応している様々なメーカーの機器を利用して相互接続しているという。また、日台をつなぐ光ファイバーは2ルートあり、バックアップも確保している。
日台間IOWN APNの概要
通信品質試験の結果では、遅延は片道16.92msec、遅延ゆらぎもほとんどなく、エンドツーエンドで安定した通信が行えているとのこと。NTT 執行役員 研究企画部門長の木下真吾氏は、「光だけの速度で大体15msecかかる。約17msecは光が直線するスピードとほぼほぼ変わらない」とその低遅延性能をアピールした。インターネットの場合は、「200~500msecかかる」といい、ファイル転送であれば、およそ1.5倍の差が出るという。