「A部長に相談したいことがあるのだが、今、自席にいるだろうか?」――。
仕事は1人では回らない。上司や同僚、部下などとのコミュニケーションが不可欠だが、この“コミュニケーション”という要素は同時に、仕事を遅らせる原因にもなっている。
コミュニケーションを取りたい相手は、常にあなたのすぐ近くにいるわけではない。例えば別フロアや別拠点にいたり、あなた自身が外出中だったり。そして、「内線をかけたが不在だった」「本当は直接話したほうが効率的だが、外出中や会議中かもしれないからメールにしておいた」など、同じ空間にいない相手とのコミュニケーションには、どうしても無駄がつきまとうものだ。
こうした無駄を減らし、さらにはコミュニケーションの活性化にも役立つというユニークなソリューションがある。3月23日に機能強化された日立製作所の「座席ナビ」だ。同社で座席ナビを担当する小高浩氏に話を聞いたので、詳しく紹介していこう。
日立製作所 情報・通信システム社 ネットワークソリューション事業部 ネットワークシステム本部 CommuniMax製品事業推進部 主任技師 小高浩氏 |
相手の状況が“見える化”されると、コミュニケーションが円滑に
座席ナビは、社員の在席状況と在席位置を“見える化”できるプレゼンス管理システムだ。単に相手の状態が分かるだけでなく、座席ナビ上から各種コミュニケーション手段で連絡を取ることができる。IM(インスタントメッセージ)機能を座席ナビ自身で提供できるほか、電話/メール/グループウェアとも連携でき、「コミュニケーションポータル」の役割も果たす。
座席ナビの画面イメージ[クリックで拡大] |
上が座席ナビの画面イメージだ。自分のPCをLANに接続/ログインすると、その座席位置に氏名が自動的に表示される仕組みになっている。無線LAN環境でも在席場所を自動表示でき、さらにPCだけでなくスマートフォン/タブレット端末にも対応している。
人によって氏名の色が違うが、これは黒色が「在席中」、黄色が「離席中」の意味。PC操作が一定時間なくスクリーンセーバーモードになると、システム側が「離席中」と判断して自動で表示が切り替わる。
座席ナビの典型的な使い方だが、例えば総務部のBさんに連絡を取りたいときには、まず本社オフィスの総務部の入ったフロアを表示。Bさんの在席状況を確認し、在席中であればBさんの名前をクリックすると表示される詳細ウィンドウからクリック・トゥ・コール機能を使って内線をかければいい。
クリック・トゥ・コールとは、Webブラウザ上の電話番号をクリックすると内線・外線がかけられる機能のこと。PCにインストールしたソフトフォンからの発信だけでなく、サードパーティコールコントロールあるいはV字発信と呼ばれる機能により、通常の固定電話機や携帯電話とも連携できる。
クリック・トゥ・コール機能による電話発信時の画面イメージ |
仮にBさんが離席中あるいは外出中であれば、IMやメールで連絡したり、あるいは座席ナビで誰が今在席しているかを確認したうえで他の総務部の人に内線をかけるという手もある。また、「お知らせ登録」ボタンをクリックしておくと、Bさんが席に戻ったときに「Bさんが着席しました」とポップアップメッセージで知らせてくれる。
「お知らせ通知」機能を使うと、コンタクトを取りたい相手が席に戻るとメッセージが届く |
なお、Bさんが在席しているのならば、そのフロアに足を運び、直接会って話をしてもいいだろう。フリーアドレスオフィスは無論のこと、固定席のオフィスでも社内を動き回っていて、なかなかつかまらない人は多い。相手の居場所まで分かる座席ナビには、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションを増やす効用もあるのである。
フロア図以外からコンタクトしたい相手を探すことも可能だ。「営業部 山田」などと検索すれば、営業部の山田さんの在席状態や在席場所などが表示される。ちなみにPCをログイン/接続していない場合、在席状態は「不在」、在席場所は「切断」になる。また、社内だが場所の紐付けができない場合には在席場所は「社内」、テレワーク中で自宅からイントラネットに接続中などの場合は「接続中」となり、フロア図上に氏名は表示されない。このほか、部署ごとや任意に設定したグループごとに、プレゼンスを一覧表示することも可能だ。
部門横断型プロジェクトの参加メンバーなど、任意に設定したグループのメンバーを一覧表示できる「コンタクトリスト」。今回の機能強化により新しく加わった機能だ [クリックで拡大] |