「web3を社会インフラに」 ドコモの新会社「NTT Digital」は何を目指すか?

ドコモが2022年に新設した、web3を推進する子会社「NTT Digital」。デジタルウォレット「scramberry WALLET」の提供や異業種との連携を通じ、「web3が社会インフラになるよう取り組んでいく」という。

ブロックチェーン技術を活用した次世代の分散型ネットワーク「web3」。GAFAMをはじめとするハイパースケーラーに大きく依存していたweb2.0とは異なり、中央管理者を介さずユーザー自身がデータを管理・運用できるようになる。2022年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針」では、web3の環境整備に関する文言が盛り込まれるなど、国策としてweb3の推進が図られている。

しかし、昨年3月に米シリコンバレー銀行が経営破綻した影響を受け、暗号資産業界に多くの顧客を持つ米シグネチャー銀行・シルバーゲート銀行が事業停止。これにより、web3への期待や投資が一時的にしぼんでしまった。技術面での複雑さや、キラーユースケースが登場していないことも、普及の足枷となっている。

ただ米調査会社のGrand View Researchによると、2030年のグローバルのweb3市場は約335億ドル(約5兆809億円)に到達し、2022~2030年の年間平均成長率(CAGR)は44.9%になると予想されている。

そんなweb3に可能性を見出し、画期的なweb3サービスの開発・提供に向けて各社が模索を続けているが、NTTドコモもweb3に熱視線を注いでいる。同社は2022年、web3に最大6000億円投資することを発表。そして2022年12月、web3を推進する子会社「NTT Digital」を新設した。

「お客様が簡単かつ安全にweb3サービスを利用できる環境づくりを、NTTグループとして行っていく。“web3イネーブラー”としての役割を果たしていきたい」。NTT Digital 取締役/Managing Directorの谷直樹氏は新会社設立の狙いをこう語る。

NTT Digital 取締役/Managing Director 谷直樹氏

NTT Digital 取締役/Managing Director 谷直樹氏

初心者でも使える手軽さが売り

web3サービス第1弾として同社が今年3月にリリースしたのが、暗号資産やNFT(非代替性トークン)に対応したデジタルウォレット「scramberry WALLET」である。電話番号だけでスピーディーに初期登録ができる手軽さが売りだ。

また、アプリの利用情報をクラウドに保存することでウォレットの復元が可能となる「バックアップ機能」や、取引が少ない暗号資産やNFTへの「フィルタリング機能」など、セキュリティの高さも兼ね備える。

scramberry WALLETのホーム画面(出典:NTT Digital)

scramberry WALLETのホーム画面(出典:NTT Digital)

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