「ソフトバンクの最大の弱点は『電波が悪い』こと。3社の中で唯一プラチナバンドのない我々はこれまで不平等な戦いを強いられてきたが、今後は平等な戦いになる。不平等ななかでも純増No.1を獲得してきたが、これからはもっと純増が増えるだろう。戦いの前提条件は完璧に変わる」
2012年3月1日に900MHz帯の免許を総務省から正式に交付されたソフトバンクモバイルは同日、記者会見を開催。満面の笑みをたたえて登場した孫正義社長は、900MHz帯の取得は同社のビジネスにとって決定的に重要な意味をもつとの認識を示した。
NTTドコモやKDDIと比べた“つながりにくさ”は、孫社長自身も言う通りソフトバンクにとって「最大の弱点」であり続けてきた。実際、同社の解約理由の中では「ダントツの1位」であり、「毎週の経営会議では一番のメインテーマとなっていた」というが、そのつながりにくさの一番の要因となっていたのが「プラチナバンドの欠如」である。800MHz帯の割当を受けるドコモとKDDIに対して、ソフトバンクが有するのは1.5GHz帯と2.1GHz帯で、伝搬特性に優れるプラチナバンドの割当は受けていない。このため孫社長はかねてから「不平等」と訴えてきた。
解約理由の1位に挙がるなど、ソフトバンク最大の弱点だった「電波」 |
なぜプラチナバンド取得でエリアが一気に改善するのか?
800MHz帯や900MHz帯、さらにはこの夏に割当が決まる700MHz帯がプラチナバンドと呼ばれるのは、そのつながりやすさが理由だ。孫社長は、「我々の実験によると、同じ鉄塔から電波を吹いた場合、900MHz帯のカバーエリアは2.1GHz帯の3倍になる」と説明した。このためソフトバンクが特に弱いと言われてきたルーラル(地方)エリアで大幅な改善が見込まれる。
2.1GHz帯と比べてカバーエリアは3倍のプラチナバンド |
また、都心部や屋内のエリア改善にも大きな効果を発揮する。直進性の強い2.1GHz帯は、ビルなどの障害物にあたると跳ね返ってしまうため、ビル影には電波が届きにくい。一方、プラチナバンドは障害物を回り込む性質を持っているため、ビルの谷間などでも電波が届きやすくなる。結果、ビルなどの建物内にも電波が届きやすくなり、屋内でもつながりやすくなるという。さらに、森林部のカバーエリア拡大においても、プラチナバンドは2.1GHz帯と違って樹木に電波が吸収されにくいため有利とのことだ。
プラチナバンドは障害物を回り込みやすい特性を持つため、ビル影や屋内などにも電波がよく届くように |